04

鬼ごっこが開始されて、50分。
制限時間は1時間だったはずだから、あと残り10分。


「ハッハァ…ハァ…ッ!よ、ようやく撒けた……っ」
「若い子達の体力はすごいね。驚いちゃったよ」
「本当にね…どこにあんな体力秘めてるんだろう」
「その"若い子達"から、50分間ほとんど止まらずに逃げ続けた先生達もすごいと思いますけど…」
「「だって捕まりたくないもん」」
「良い歳して"もん"言わないで下さい。似合いますけど」


小龍くん、それ…褒めてる?


「褒めてます」
「何か腑に落ちないけど…まぁ、いいか。さて、これからどうする?あと残り10分間、此処に隠れて、見つからないことに賭ける?それとも…ギリギリまで走り回りますか?」
「さすがにもう走りたくはないけど…」

―――ドドドドドッ…

「この地響き聞いちゃったら、走らないわけにいかないよねぇ」


そう言って苦笑するユゥイ先生。私はもう、引きつった笑みしか浮かべることが出来ません。
疲労を訴える足を叱咤して立ち上がった時、廊下の曲がり角に…たくさんの人の姿が見えました。
一瞬にして血の気が引いた。や、本当に。いくら自分の教え子達とはいえども、この状況はやっぱり怖いんですよ!!!とにかく逃げないとマズイ!!!

何処に行けば安全なのかわかんないけど、あと少しの間逃げ切ってしまえば私達の勝ちだ。ここまで逃げてきたんだし、最後まで捕まらずにいたい。
足を動かし始めた時、私達が向かう先に人影が見えた。挟み撃ちにされた?と思ったんだけど、そこにいたのはよく知ってる人。


「なまえっ!」
「黒くんっ…?!」
「ようやく登場だねなまえちゃんの王子様♪さ、捕まっておいでー」


ユゥイ先生と小龍くんにトンッと背中を押され、黒くんが私に手を伸ばし―――…彼に、捕まえられる瞬間。
両側からムギュッと抱き締められた。


「え?」
「あ?」
「あー…」
「…ファイ先生と理事長」
「「緋月先生(ちゃん)、つっかまえたー♪」」


私を捕まえたのは黒くんではなく、まさかの侑子先生とファイ先生。
程なくして制限時間を迎えた鬼ごっこは、幕を閉じた。


「お前らぁあああ!!!」



(緋月〜今夜はとことん飲むわよ!何か美味しいもの作ってちょうだい♪)
(ええ〜…?でもまぁ、そのくらいなら…ファイ先生は?)
(オレ、ほっぺたにちゅーしてほしいなぁ)
(え。いや、それはちょっとー…)
(…へらいの。そこへ直れ。俺がみっっっちり教育し直してやるっ!!!)
(きゃー♪黒りんが怒ったー)
(待ちやがれええええぇえええっ!!!)
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