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 side:悟空


なまえの体調の悪さに最初に気がついたのは、悟浄だった。そういうのは八戒の方が気がつくのが早いのに、今回ばかりは違って。それをボソッと言ったら、八戒は「悟浄はそういうのに聡いんですよ。…悔しいですけどね」って笑ってたんだ。やっぱり八戒はなまえのことが大好きなんだな、って思い直した。うん。
でもさ、なまえって体調悪い時とか自分から辛い・痛い・苦しいって言わないから、意外と俺達も気がつかないことが多い。八戒が何となく大丈夫か、って声を掛けて、それで発覚することも少なくなかったしね。我慢強いことを悪いとは言わねぇけど、でももーちょっと。あとほんの少しだけ、俺達のことを頼ってくれたらいーのになぁって思う。いつだって頼って、って願うんだ。


「大丈夫か?なまえ」
「そんな顔しないで、悟空…薬も飲んだから、すぐ良くなるわ」


そう言って笑顔を浮かべてくれたけど、いつものよりずぅっと弱々しい。俺が好きだなーって思ってるのとはちょっとだけ、違う。それもそうか、今は熱出してて辛いはずだもんな。いつもと同じ笑顔なんて、そんなのもっと疲れちまうし。
そう思う反面、早くいつもの温かい笑顔が見てぇなーと思っちまったのは、俺だけの秘密だ。だって、こんなこと悟浄達にいったらまたバカ猿、って言われて、すっげーからかわれるから!


「夕飯は?食べたの?」
「うん、さっき八戒達と。今、3人は仮眠とってる」
「最近は襲撃の数も多かったから、…ゲホッゴホッ!」
「あーもう!いいから寝てろって、今は俺達のこと気にしなくていいから!」
「けほっ…ふふ、悟空ってこういう時、頼もしいわね」
「!」


咳き込んだなまえの背中を擦ってたら、いつものに近い笑顔でそう言われて。すっげー嬉しかった、俺でもなまえに頼ってもらえんだって思ったら嬉しくて、怒ってたはずなのに全部どうでも良くなるくらい。それくらい嬉しかったんだ、本当に。ずっとなまえに頼ってもらえたら嬉しいだろうな、って思ってたんだけど、うん、やっぱり嬉しかった!
元気でいてくれんのが一番いいけど、でも、でもさ?ちょっと不謹慎だけど、こうやって頼ってくれんなら―――たまにはなまえが寝込むのもいいかも、ってちょっとだけ思ったんだ。


「さっき宿のおばちゃんにみかんもらったんだ。明日、一緒に食おーぜ!」
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