LycorisA

■組織壊滅後

―――ちょっと面白、…じゃないわ、大変なことになったから博士の家まで来てくれないかしら。
志保ちゃんからそう電話があったのは、今から数十分前のことだった。何かあったみたいなんだけど、詳しいことは聞いていないからわからない。ただ気になるのは…大変なことになった、と言う前にあの子、面白いって言いかけてたのよねぇ。一体、可愛いあの子は何をしたのだろうかと苦笑を浮かべつつ、車を走らせた。
車を工藤邸に停めてから博士の家へ赴くと、さっきの私のような苦笑を浮かべた新くんが出迎えてくれました。
あら、我が甥っ子も来てたんだ。志保ちゃんの所へ来てるなんて珍しい、もしかして蘭ちゃんも一緒なのかしら?と足元に視線を落としたけれど、女性物の靴は1足だけ。恐らくは志保ちゃんのものだろう。それから新くんのものであろう黒のローファーと、見覚えのあり過ぎる革靴が鎮座している。…秀一が来てるの?

「ねぇ、新くん。秀一も来てるの?」
「あー…おう。赤井さんっちゃー赤井さんが」
「…は?」
「説明するより見た方が早いし、こっち来てなまえさん」

もうワケがわからない。とりあえず新くんを追いかけてリビングへ向かうと―――そこには黒髪美人さんが長い足を組んでソファに腰掛けていた。

「…赤井さん、です。一応」
「一応、という紹介はひどいな。新一くん」
「えっマジもんの秀一?!」

どこか面影はあるけれど、話し方もそっくりだけれども!えっ冗談でも何でもなく?!

「えー…何で女性になってるんですか」
「私の作った薬を飲ませたの。試験薬だけどね」
「志保ちゃんが?」
「ええ。解毒剤を作っていた過程で出来上がったものなのよ。…ちょっと興味本位で」

うーん…毒ではないし、副作用もないということだからアレだけど、秀一を実験台にしないで頂けると助かるなぁ。でも、と外していた視線を秀一に戻す。
元々、顔立ちが綺麗な人だったから女性になっても美人だなぁ…切れ長の目が尚更、美人度を上げている気がする。どっちかというと、女性受けしそうな感じかなぁ。そして胸も大きい。私よりあるんじゃない?これ。

「これはまた…おっもしろいことになりましたね、秀一」
「面白さは欠片もないと思うがな…」
「…ねぇ、せっかくですから私の服着て出かけません?」
「なまえさん面白がってんな、完全に」
「だって戻るんでしょう?」
「大丈夫よ、効果は1日だけだから」

1日だけか。それだったら尚更、楽しんでおかないと損だよね!

「やっぱり着替えて出かけましょう、秀一!メイクと髪もやってあげますから!」
「お、おいなまえ!ちょっと待て!!」
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