来年は、きちんと渡したい

2/14が間近ということもあり、街中はバレンタイン一色だった。色んな場所がチョコレートで埋め尽くされていて、それを目にする度にお前は用意しないのか?と言われているような気がして自然と眉間にシワが寄る。


「バレンタインかぁ…」


気にしたことがないわけではないし、あげたことがないわけでもない。…ただ、本命を渡したことがないだけで。友達とか、部活仲間とか、所謂『友チョコ』ってやつだ。だからいざ好きな人に!ってなると、どんなものを渡したらいいのか、どんな風に渡したらいいのかサッパリわからなくなる。
友達に相談しようとも思ったけど、絶対渡す相手はどんな人なのかとか根掘り葉掘り聞かれて相談どころじゃなくなるよ。絶対。こればっかりは自信がある。私はそれくらい、恋愛に興味のない青春を送ってきたから。


「せっかくだし、作ってみようかな」


きっと買った方が美味しい。きっとっていうか絶対。手作りは嫌がる人も増えてるって話だし。けど、せっかく本命を渡すなら…気持ちをしっかり伝えたいと思ってしまった。手作りだから伝わるってわけでもないし、もしかしたら受け取ってもらえないかもしれないけど。
いいや、ここまできたら当たって砕けろ精神だ。





「万理さん」
「ん?」
「甘いものはお好きですか」
「嫌いじゃないよ」


それは得意じゃない、とも受け取れるけど、今更引くに引けない。捨てられたらそれはそれで、諦めもつくだろう。そっと溜息を吐いて、私は手に持っていた紙袋をズイッと差し出した。


「…もしかして、俺に?」
「一応手作りです味見もしましたけど食中毒が怖かったら捨てて大丈夫ですそれでは私はお先に失礼します…!!」


正にトルコ行進曲。ポカーンとしているであろう万理さんに背を向け、私はバタバタと事務所を後にした。


「…くっ…ははっ可愛いなぁ、本当」

(Twitterより転載)
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