03
インターハイ予選、決勝リーグ。
我が誠凛高校VS桐皇学園高校との試合。「キセキの世代」の1人、青峰がいる高校だ。
最初から最後まで、ずっと全力で挑んだ。…だけど、私達は負けてしまって…火神くんの欠場も影響したのか、その後の試合も負け続けて―――インターハイへの切符を、逃した。
その後の練習風景は、いつも通りのように見えた。だけど、火神くんと黒子くんの様子がおかしいように感じる。
インターハイ予選が終わってから、火神くんは足の怪我の療養の為に部活を休んでいて。日向は見学だけでも来い!って言ってたらしいんだけど、彼は一向に姿を見せる様子がなかったんだ。彼なりに何か考えているのかもしれないけど…それは当人にしかわからない。でも私がそれ以上に気になっているのは、黒子くん。
「元々、表情が乏しい子だからなー…見ているだけじゃわからんわ」
「黒子くんのこと?」
「うん…インハイの予選が終わってからさ、なーんか引っかかるんだよねぇ。特に今日のスタメン1年だけでやった練習試合」
「確かに彼の動きは悪くなかったけど…スコアは伸びなかったわね」
「火神くんとの連携が上手くいってなかったってのもあるとは思うんだー…だけど、」
それだけじゃあ、ないんじゃないかなって思ってる。
だけど、そうなると私に出来ることって何なんだろうか。何かしてあげたい、言ってあげたいけれど…何を言っていいかがわからないのが現実だ。場合によっては何も言わずに見ているだけの方が良い時だって、確かにある。
それはわかってる。痛い程によくわかってるつもり。わかっては、いるんだけど…私だってバスケ部の一員だ。同じ舞台に立つことは出来ないけれど、裏で支えることは出来る。それがマネージャーの役割だって思ってるから。
だからこそ、何かにぶち当たってるように感じる黒子くんの力になりたいって…私は心から思う。
「案外、自分で解決しちゃいそうな気はしてるけど…」
「そうねー。黒子くんと火神くんなら何とかするんじゃないかしら?」
―――RRRR…
「ん?電話…?」
サブディスプレイに映し出されたのは、黒子くんの名前。今ちょうど話題に上っていた人からの着信で、内心焦ったのは秘密だ。
リコに断りをいれてから私は通話ボタンを押す。
「もっもしもし?!」
『あ…こんばんは、黒子です』
「うん、こんばんは!ど、どしたの?急に電話なんて…」
『みょうじ先輩にどうしてもお話したいことがあって…これから会えませんか?』
―――マジバで待ってるので。
黒子くんの居場所を聞き出して、私は走り出した。もちろんリコにはちゃんと説明をしてからだけど。
話したいことって、一体何だろう?気になることはたくさんあるけど、電話越しに聞いた声が少しだけ…いつもより弾んでいたように思ったのは、私の気のせいなんだろうか?…いいや。今は考えても仕方ないし、黒子くんに会ってみればわかるでしょ!
マジバに着いてキョロキョロと彼の姿を探してみると、窓際の席にいた。そっちに向かって歩き始めれば、彼も気がついたのか軽く手を上げて「こっちです」と声をかけてくれた。
「すみません、急に呼び出して…」
「ううん、構わないけど。そんなことより、黒子くんは大丈夫なの?試合出た後なのに」
「はい、何とか大丈夫です」
「そう。なら良いけど」
黒子くんの向かいの席に座れば、珍しくシェイク以外のものを頼んでいてちょっとびっくりした。
そのままじーっと見てしまっていたらしく、「良かったらどうぞ」と差し出された。……大人しく頂きますけどね。お言葉に甘えて。試合には出てないけど、マネージャーの仕事って地味に大変なんだよ!お腹空くんだよ!!
「それでお話って何?」
「あの、ですね―――…」
黒子くんはいつも通りの表情で、いつも通りの声音で、ついさっき火神くんに皆と一緒に日本一になりたいと、その為にもっと強くなって「キセキの世代」を倒すんだと…それを話してきたと教えてくれた。
ああ…彼がぶち当たっていたように感じていたのは、やっぱりコレだったんだね。
「迷いが消えたみたいで安心したよ。とっても良い顔してる!」
「心配かけてしまってすみません。でももう…大丈夫です」
「うん。また皆で一緒に頑張ろ!」
「はい」
「…あ、でもその話を何で私に教えてくれたの?」
「これを一番に話したのは火神くんですけど…でもみょうじ先輩がずっと心配してくれていたようなので、あの……」
あなたに一番に報告したくて
((その一言に、ふんわり笑ったその表情に))
((私の心臓は今までにない程、高鳴ったんです))
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