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7年ぶりに戻ってきた町で、よく遊んでた同級生の新くん、蘭ちゃん、園子ちゃんに再会した。しかも同じ高校、更に同じクラスときたもんだ。
でも正直さ、新くん達はとっくに私のことなんか忘れてるもんだと思ってた。だけど、それは明らかに私の勘違いで、彼らは私の顔をしっかり覚えてて、名前もわかってたのです。それがすっごい嬉しかったなぁ。だから最初は上手く喋れないかも、っていう心配もあっという間に消えてしまいました。

入学式が終わって早一週間。それなりに学校にも慣れてきた私は、ほとんどの時間を新くん達と過ごしています。

「なまえ、新一!お昼食べよー」
「おー。何処で食う?中庭か?」
「さすがに中庭はまだ寒いんじゃない?此処でいいよ、此処で」
「中庭は魅力的だけど、確かに園子ちゃんの言う通り、か、も……?あ、あれぇ…?」
「どーしたのよ、なまえ。何か忘れ物?」
「うん…忘れてきた」
「オメーまさか…」

ええ、そのまさかだよ新くん!

「お弁当忘れてきたぁあああ…!!!」

賑やかな教室に私の悲痛な叫びが響き渡る。それを間近で聞いていた蘭ちゃんと園子ちゃんは苦笑気味。新くんに至ってはアホかって顔でこっちを見てます。
あのね新くん!私だって忘れたくて忘れてるわけじゃないんだよ!!これには幾重にも重なる深い事情があってだね…!「どうせ朝慌ててて、玄関に忘れてきたんだろ?」…どうしてそう簡単に見破ってしまうの、君は。
むむむ、と脹れっ面をしてると、オメーの行動なんてお見通しなんだよって不敵な笑みを浮かべられた。何だろう、すっごく悔しい。

うう、でもそれはひとまず置いておいて…今日のお昼、どうしよう。一食くらい抜いても人間倒れはしないけど、何よりも食べることが大好きな私には苦行でしかない。そんなの無理、午後の授業頑張れる気がしないもん。
はぁ…購買でパンでも買ってこようかな。生きて帰ってこれる自信、全くないけどね!覚悟を決めよう、とお財布を取り出せば、何故か新くんまで立ち上がった。新くんも何処か行くのかな?でもまだお昼食べてないはずなのに。

「俺も一緒に行ってやるよ、購買」
「え、別に大丈夫だよ1人でも…!」
「新一くんに着いてきてもらった方がいいと思うわよ〜?学校の購買、この時間はすっごい人らしいから!」
「きっと女の子1人じゃ弾き飛ばされちゃうよ?」
「えええ…」
「だーから俺が一緒に行ってやるって。ほら、行くぞなまえ」

新くんと共に購買へと赴いてみれば、園子ちゃんの言う通りすっごい人だった。人がゴミのようだ、ってこういう時に使う言葉なのかな?
目の前に広がる現実から逃れたいのか、ぼんやりと脳裏に浮かぶのはそんな下らないことだったりするんです。

ものすごーーーーーく!嫌だけど!!でも行かなきゃ私のお昼はないのだああぁあああ!!

気合いをいれて人混みに突っ込んでみたけど、僅か2秒で外に弾き飛ばされました。うん、蘭ちゃんの予想バッチリ当たってたよ。
座り込んだままシクシク泣いていたら、苦笑を浮かべた新くんが手を差し伸べてくれていた。遠慮なくその手に掴まって立ち上がれば、私より僅かに大きな手がスカートについた埃を払ってくれている。…優しいなぁ、相変わらず。

「オメーって…」


そういうとこ全然変わってないな


(ん。メロンパンと焼きそばパン)
(わーい!ありがとう新くん!!)
(頑張ったんだから今度礼しろよー)
(えええ、理不尽だー!!)
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