04

どんなに好きでも、想っていても、この恋は決してあの子には届かない。…でも。でもね?だからと言ってすぐに忘れられたり、好きなのをやめられるわけじゃないんだよ。女の子は、人間は…そう簡単には出来ていないんだ。

「むしろ、その方が楽だよなーとは思うけど…」

ぼそり、と溜息と共に吐き出した言葉は思いの外、大きく響いてしまって蘭ちゃんにとても不思議な顔をされた。
あ、蘭ちゃん、その首を傾げた表情すっごく可愛いです。写メ撮りたいくらいに可愛いです!!

「それでどうしたの?なまえ。何か悩み事?」
「うーん、…悩み事…ってわけじゃないと思うんだけど、初恋って実らないって昔聞いたことがあるなーって」
「あぁ、言われてみれば。…それで?」
「で、いまだにその初恋の人を想っている場合は、一生叶わないのかなって思ったんだ」
「成程ねぇ…でもそう簡単に新しい人を好きになれたら、苦労しないよね」
「そう!そうなんだよ蘭ちゃん!!」

新しい好きな人を見つけたとしても、その人と前に好きだった人を比べちゃうかもしれないじゃない?もちろん、そうならないのが一番なんだろうけど。
だけど、その好きだった人を忘れる為に違う人を好きになろうとしたり付き合ったりする人も、世の中には存在するんだよね…私はきっと、無理だ。そんなに器用なこと出来ないもん。

「想い続けたら叶う、なーんて…夢見すぎかも。私」
「あら、いいじゃない?夢見がちでも。だって女の子はいつだって夢を見るものなんだし!素敵だと思うけどな」
「そうかなぁ?」
「そうだよ!……それでなまえはその初恋の人を忘れたいの?」

にっこり笑顔を崩さないまま、そう問いかけてきた蘭ちゃんに私は思わず動きを止めた。だ、だってあくまで一般論として話をしていたはずだったのに、蘭ちゃんは考える素振りもなく、さっきの話は私自身の気持ちだって判断してるんだもん!そりゃびっくりして動きも止めちゃうって!

「え、ら、蘭ちゃん…?」
「だってさっきの話、なまえ自身のことでしょ?そのくらいわかるよ」

蘭ちゃんの観察力と勘に完敗です。すごいや、この子。

「忘れたい、のかなぁ…」
「無理に忘れる必要なんてないと思う。それに…まだ好きだってことは、それだけその人が大事だって証拠じゃないのかなぁ?」
「大事、」
「確かに初恋は実らない、って言うけどそれに当てはまらない人だってたくさんいるわよ」

そっか、そうだよね…中には初恋の人と結ばれた、って人もいるんだもんね。あれはあくまで迷信、なのかもしれない。それに振り回されて無理矢理気持ちを押し殺す必要はないんだ。
好きなら好きでいい…その気持ちを大事に大事にしていっても、誰も文句は言わないよね?だって何を言われても好きなんだもの。

「何話してんだ?」
「あ、新一!今ね、初恋って実らないって本当かね、って話してたの。ねぇ、新一はどう思う?」
「俺?俺はそうだなぁ、……実るんじゃね?初恋」
「えっ本当?新くんがそんな風に言うなんて意外だ…!」

思わず口を出た言葉に新くんがジトッとした目で見つめてくる。しまった…完全に失言しちゃったなぁ、私。
へらっと笑って誤魔化そうとしたら、不意に新くんが耳元に唇を寄せてきてボソッと呟いた。その呟いた言葉は私の心臓を止めるくらいの威力がありました。


お前の初恋の相手って俺だろ?


(〜〜〜〜〜〜〜っ?!)
(わっなまえ顔真っ赤!どうしたの?!)
(ははっ茹蛸みてぇ)
(もう新一っ!笑ってる場合じゃないでしょ?)
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