いつか、本当に

「あ、…」

今日は塾が急遽、休みになってしもて時間が空いてしまった。
せやけど、学園の授業で課題が出とったから、せっかくやし片づけてしまおーとなりまして、皆で図書室にやってきました。ちゅーか、ほんまこの学園の図書室て広すぎない…?どっちかっちゅーと、図書館って感じなんやけど。
…けど、祓魔塾の先生方もここ使てるって言うとったし…このくらいの広さがないとあかんのかもね。

まぁ、そんな学園事情は置いといて。私は課題に使う資料を探してたんやけど、何故か花言葉の本を見つけてしもた。そして何故か惹かれてしまい、手に取る始末。いや、資料もちゃんと見つけたけれども。
本読むの好きで色々手ぇ出しとるけど、こういうんはまだ読んだことあらへんなぁ。確か宝石とかカクテルにも色んな意味があるんよね?花言葉みたいに。
うーん…課題には全く関係ないし、必要もないけど、ちょっと気になってまう。…少しだけ、読んでみよかな。

「(なんや結構おもろいなぁ…)」

パラパラと捲ってみれば、色んな花の写真と花言葉が仰山載っとった。
聞いたことのある言葉もあれば、花すら知らないものもあって興味深い。あ、薔薇って本数で言葉の意味が変わるんや。あれやね、廉が知ったら女の子に渡して口説きそうや。
…けど、こういう言葉を知った上で花を渡されたら、女の子はきっと嬉しいて思うんやろうな。私かて少し、憧れる。

そんなことを考えながらまたページを捲れば、とある花が目に入った。
"ホトトギス"。ユリ科の花で、花にある斑点模様が鳥の不如帰の胸にある模様に似てるから、この名前になったらしい。
花の名前は聞いたことあったけど、そんな理由でこないな名前になった、とかは図鑑とか見いひんとわからんことやね。覚える必要はないやろうけど。

「なまえ?戻ってこんと思ったら…何しとん?」
「あ、タツ。ちょおおもろそうな本見つけてしもて、…捜しにきてくれたん?」
「資料探すついでにな。…花言葉?」
「おん。偶然見つけたんやけど、結構楽しいよ」
「ふぅん…こんなんあるんやな」

一緒に1冊の本を見て色々話しながら、さっき見たホトトギスのページを思い返す。
あの花の花言葉は、私の気持ちをそのまんま表しているような気がしたんや。せやけど、きっとタツにとって私はただの幼なじみでしかないと思う。
それでも他の子らよりは近い所におる、て思っとるし、傍におることも許されてるって…自惚れとる。彼なりに大切にしてくれてる、とも思っとる。
せやけど、やっぱりな?もっと近づきたいって気持ちもある。幼なじみやのうて、もっと近くて、特別な存在になりたい。タツの―――唯一、に、なれたらって。

「私は永遠にあなたのもの」
「うん?」
「さっき見た花言葉にあったんよ。情熱的やと思わん?」
「せやな。好かれとる奴に言われたら嬉しいやろな」

…ねぇ、タツ。
いつかの遠い未来で、私がアンタにこの花を贈ったら…アンタは笑てくれる?今みたいに、優しい顔で笑てくれますか?嬉しい、て…思ってくらはりますか?

「そろそろ戻んで。あいつらも心配するやろ」
「おん。…あ、タツ、資料は探さんでええの?」
「…お前が持っとるそれ。俺が探してたやつやねん」
「え?そうなん?」
「せや。一緒に見せてぇな」
「ふふ、もちろん」

願わくば、いつまでもアンタの一番近くにおる女の子は自分でありたい。
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