それは一種のきっかけ


アイドリッシュセブンのメンバーの魅力が一番発揮されるのは、私はライブだと思っている。もちろん、バラエティやドラマ、ラジオでも十分彼らの魅力はわかると思う。魅力がない・わからないとは言わせない。そう言い切るだけの自信と根拠は、もちろんあります。
けれど、それ以上にキラキラと輝くのはやっぱり―――ライブだと、私は思う。それは先輩であるRe:valeとTRIGGERにも言えることなんじゃないでしょうか。だからこそ、今回の合同ライブの企画が上がった時は柄にもなくかなりテンションが上がりました。


「紡さん、縁さん!ライブの構成案、通りましたよ!」
「本当ですか万理さん!」
「うん。あれでいきましょうって」
「やったね、縁ちゃん!」
「そうね。頑張った甲斐がありました」


ライブの準備は着々と進んでいく。それに平行してドラマやバラエティの収録などなど、仕事は盛沢山。疲労感はすごいけど、それでも毎日充実していて…少しくらい眠れなくても問題なんてなかった。楽しくて、楽しくて仕方がない。
慌ただしく日々が過ぎていき―――あっという間に、ライブの初日を迎えたのです。


「うあー緊張する…!」
「なんだよ、和泉兄。いつも通りのお前でいけば、何の問題もねぇだろ?」
「うっわぁ、イケメンは言うことが違う…!」
「ははっなんだそれ」

「天に、…じゃない、九条さん今日はお願いします!」
「こちらこそお願いします、七瀬さん。…お互い頑張ろう。和泉一織、君も」
「…ええ、もちろんです」

「環くん、壮五くん!今日はよろしくね!」
「はっはい!こ、こちらこそお願いします…!」
「よろしく、リュウ兄貴。つーか、そーちゃん固すぎ。もっと力抜けって」

「まっさかあんたと一緒にライブすることになるとは…」
「ふふっゼロアリーナのこけら落としに出てもらったけど、一緒とは言い難いしね」
「めっちゃ楽しみ!!なー、ナギ!」
「オフコース!今日は全力でレディ達を楽しませますよ!」


舞台袖で交わされる会話に、クスリと笑みが零れる。緊張している人もいるみたいだけど、でも皆さんとても楽しそうで、嬉しそうで…それを見て改めて確信しました。このライブは絶対成功する、これだけのメンバーが集まっているんですもの。万が一にも失敗するなんて、あるはずがない。
だから私は、私達マネージャーはそれを全力でサポートするんです。皆さんがライブに集中できるように。よし、私は私の仕事を精一杯…!頬を軽く叩いて、気合を入れ直した。





「―――ッ…!」


眼下に広がる光景に、思わず息を飲んだ。色とりどりのペンライトの光、ステージ上を所狭しと走り回る皆さんの姿、楽しそうに、そして嬉しそうに声を上げるファンの姿…それがかつて見た光景にぴったり重なって、涙が出そうになる。
泣いている暇も、資格もないとわかってる。十分すぎる程にわかっているけれど、それでも込み上げてくるものを止めることができなくて…グッと唇を噛んだ。

いつだったか…そうだ、Re:valeの5周年記念ライブ。ゼロアリーナのこけら落としとして行われたあの公演を観た時も、同じような気持ちになったんだ。あれっきりこの気持ちは奥深くにしまいこんでいたはずだったのに、どうして今日に限って顔を出してしまったのだろう。諦めようと、もうこれ以上のことは望まないと、そう決心したはずだったのに。


「ステージに、もう一度立ちたいなんて…」


そんな贅沢な望みを再び抱いてしまうなんて、何て滑稽で愚かなのだろう。
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