ポッキーゲームをしないと出られない部屋


私のその予想は見事に当たり、こういうのがきっとフラグってやつなんだろうな…と、遠い目になりました。臣くんも一緒に。なんか、ごめん。そんなつもりは一切なかったんです、本当。
気を(無理矢理)取り直して室内を見回してみると、ど真ん中に赤いパッケージの有名なお菓子が置いてあるのを発見した。その名をポッキーという。あ、これ何となく予想がつくぞ?ポッキーゲームをしろってことじゃないか?

「臣くん、ポッキーです」
「ポッキーだな」
「というわけで、ポッキーゲームしよう」
「何でそうなる…」

だってきっとそう書いてあるはずだもの、あの紙には。そうじゃなきゃこんな部屋のど真ん中にポッキーなんてご用意されてないよ。まぁ、それでも念の為に確認しておくのは大事なことだよね。
3回目となれば多少は慣れてもくる。ドアに貼られている紙を見てみれば、案の定そこには『ポッキーゲームをしないと出られない部屋』と書いてありました。うん、ですよね!知ってた!!この際、このポッキーは食べて大丈夫なポッキー?と考えるのはやめよう。考えてたら先に進めないと思うし。害はないと、思う。いや、思いたい。

「ポッキーゲームなんてやったことないぞ…」
「サークルの飲み会で流行ったことあるよ、ポッキーゲーム」
「………やったのか?」
「臣くん顔怖い。私はやってないけど、先輩達がノリノリでやってたのを覚えてる」

酔っ払いのノリって怖いよねぇ、と笑いながらポッキーを1本取り出し、口に咥えてから臣くんの方を向く。やってないよと言ったことであからさまにホッとした表情を浮かべていたけど、私がそっちを向いたことでぎょっとした表情に変わっていった。ちょっと面白いな…写真撮りたかったかも。スマホすらないから無理だけど。
まぁ、それは仕方がないので諦めるとして…ポッキーゲームしないの?と首を傾げれば、臣くんは頬をサッと赤く染めて頭を抱えてしまわれた。本日三度目である。ねぇ、そんなに変なこと言ってないよね?

「お前のその無自覚、本当にどうにかしてくれ…」
「ええー…そんなこと言われてもなぁ」

どうしろと言うんだね、君は。思ったことを素直に口に出してるだけなんだよ、と内心思いながら、咥えたままだったポッキーをサクサクとかじり始める。ん、久しぶりに食べると美味しいなぁ。寮に越してきてからは臣くんの作ったお菓子を食べることが多いから、市販のお菓子を食べる機会が減ったんだよね。大学で友人達とお喋りしてる時とか、課題やっている最中とかくらいかなぁ。
半分くらいまで食べ進んだ所で、さっきまで頭を抱えていた臣くんが反対側をぱくりと咥えたもんだから私の動きは停止した。ついでに思考回路も。

「んんッ?!」
「そのまま離すなよ?」

急にそんなカッコいい笑みを浮かべないでください!ときめく!!突然の展開に私は全くついていけなくて、ポッキーをかじる臣くんをただただ見つめるしかできない。
あともう少しで唇が触れる、という所で、臣くんは口を離した。そ、そのままキスされるかと思った…!!!背後でドアが開く音が聞こえたけれど、今はそれを確認する余裕なんてどこにもない。

「ははっ顔が真っ赤だぞ、はる」
「誰のせいだと思ってるんだ、誰の…!」
「さあ?誰だろうなぁ」

こっの野郎…!!
口を開くよりも先に臣くんのお腹にパンチを一発お見舞いするけれど、まぁ全くダメージありませんよね!楽しそうに笑ってるだけだよこいつは!!その顔はめちゃくちゃ好きだけど腹立つなぁ、もう。

「悔しい…臣くんのバカ、アホ」
「ひどい言い草だな、相変わらず。ほら、ドアが開いたから行くぞ」

大好きな手を差し出されてしまえば、大人しく重ねるしかなくて。ぎゅっと力の限り握り込めば、臣くんは楽しそうに笑いながら「痛いよ」なんて言うけれど、絶対そんなこと1mmも思ってないでしょ。…いいけどさ!別に!!
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