やらかしたら逃げましょう
やらかした。本当の本当にやらかした。初めにやらかしてくれたのは臣くんだけど、まさか私もやらかしてしまうとは思わなかったよね。うん。
お酒に強いとは思ってなかったし、実際こうならないように気をつけていたんだけど…色々重なって爆発したらしく、いつもの自重はどうしたかと言わんばかりに飲みまくった。その結果、眠り込んだ私に困った東さんは左京さんにお迎えを頼んだそうです。
まぁ、これもやらかし案件なのだけれど本当のやらかし案件はこれではなく、別にあります。私、臣くんに勢いでキスしました。しかも泣きじゃくり、お前それは告白してんじゃね?って感じの言葉を吐き、挙句の果てには寝落ちする―――と。
いや、色々とやらかし過ぎててどうしたらいいのかさっぱりです。ひとまず、東さんと左京さんには全力スライディング土下座とお礼をせねばなるまい。そして臣くんにも同様の謝罪とお礼をしないといけないんだけど…部屋に運んでくれたの、臣くんだそうなので。東さん曰く。
うん、でもさ?勢いで告白紛いなことして、しかもキスするとかさ!どんな顔して会えばいいのかわからない第二弾なわけですよ!!しかもこんなの誰にも相談できないし…東さんにだけはかいつまんで(繰り返すけど、臣くんとは明言してない)話をしたけどさーその数日後に実はやらかしちゃってーなんて言えないでしょ。言える人もいるかもしんないけど、私は無理。絶対無理。―――というわけで、私はやらかしてしまった次の日から絶賛逃亡中です。
「東雲さん、逃亡癖でもあるんすか?」
「…はい?」
「いや、ちょっと前も課題やらサークルが忙しくて帰ってくるの遅かったじゃないっすか」
「……ソウデスネ」
「で、今度は本当に帰ってこねぇし。伏見さんの様子もおかしいし…もしかして逃げてんのかなーって」
ねぇ。綴くんは一体、どこまでわかってるの?臣くんと私の間に起きた出来事も、私のアイツへの気持ちも、何も話したことなかったよね?というか、こういうのは誰にも―――それこそ、友達にすら話したことがないんですけれども。
内心冷や汗ダラダラ。あれ、綴くんってここまで勘が鋭い子でしたっけ…?!もう何を言っても墓穴を掘る気しかしなくって、とりあえずおにぎりを頬張った。あ、たらこ。美味しい。
「言いたくなさそうだし、これ以上は追及しませんけど。…でも東雲さんがいないと調子が出ない団員もいるってこと、覚えといてください」
「うん…」
「特に伏見さんな」
「追い打ちやめようよ綴くん…!!!」
幼なじみの名を出されると弱いんだよ。だけど、私のことでちょっと調子を狂わせてるっていうのは、…おかしいかもしれないけれど嬉しいって思ってしまう。それはつまり、私のことで臣くんの頭ん中がいっぱいってことでしょ?
「もう少しで目処がつきそうだから、帰る時は連絡するよ」
「そうしてください。昼はなるべく弁当持ってきますから、いらない時はLIME入れといてくださいね」
年下に世話を焼かれている私って、一体。いや、心配されてる時点でどうかと思ってはいるんだけれども。少し前から私は綴くんにお世話になりっぱなしの気がするし、寮に入ってからは頻度が増してるんじゃないかとさえ思うわけで。情けない自分に舌打ちしたくなったけど、思いとどまった。さすがに後輩の前で舌打ちはマズイ、非常にマズイ。
いい加減、どうにかしないとダメだよなぁ…そんなことを考えながら、パックジュースを啜った。