タコ焼き食べ放題


えー…あの後、コックくんが海に引きずり込まれて殺されそうになったり、麦わらの船がバックしたり、すごい威力の砲弾?をぶちかましたり、仮面の男を蹴り飛ばしたり、まぁ色々とありましたが何とか落ち着きました。
さっきの島…というか居住区?を離れ、今はタコさんお手製のタコ焼きを頬張っております。


「リズ、こっちがダシ入りですって。食べる?」
「あ、ありがと。…ん、こっちも美味しい」


ダシ入りだったり、モチ入りだったり、タコさんの作るタコ焼きはとにかく種類が豊富!ソースも深みがあって美味しくって、人魚さんがタコさんのタコ焼きは世界一だって言ってたけど…うん、これは確かに世界一かも。こんなに美味しいタコ焼き食べたことないもんね。
タコさんの屋台船から聞こえる賑やかな声を聞きながら、私はロビンちゃん・海賊狩り・サイボーグさんとサニー号の甲板でのーんびり食べています。あっちの船はそこまで大きくないから、私達全員は乗り込めなかったのよね。おかわりは声をかけると、人魚さんが持ってきてくれてたりする。働き者だなぁ、あの子。


「嬢ちゃん、見た目に反してよく食うな」
「そう?」
「それだけ食って育たねぇとは…」
「海賊狩り、食べ終わったら覚えてろよ」
「ふふっ」


こちとら好きで小さいわけじゃないっつーの。ギロッと睨んでも海賊狩りには一切、効かないらしい。ははっと楽し気な笑いを零しながら、タコ焼きを頬張り、それを麦酒で流し込んでいる。
いつも思うけど、この人はどんな時でもお酒を飲んでいる気がする。宴なんて開いていなくても、常に酒瓶かお酒の入ったグラスを傾けているイメージが強い。アル中なんじゃない?ってくらいによく飲んでるんだよね。
そのうち肝臓をやられそうな気がするんだけど、酔っ払っている所を見たことないし…もしかして、尋常じゃないくらい強い肝臓を持っていたりするのか?ウチのキャプテンやペンくんもお酒には強い方だと思うけど、ここまでじゃない気がする。熱々のタコ焼きを口にしながらそんなことをぼんやり考えていると、どこからか声がした。


「…誰だ?」
「さっきの人達の声じゃない?」
「あー、仮面の…まだコックくんに何か用事があるのかな?」
「さぁな」


タコ焼きが入った入れ物片手に船縁から顔を出すと、そこには確かにさっきのはた迷惑なトビウオライダーズがいたんだけど…牛…じゃない、ええっとバイソン?に乗ってるの、誰。てか、あのバイソンって泳げたんだ…水陸両用だったんだ。知らなかった。
そしてやっぱりわからない、あの底抜けに明るい男…ほんっと誰。


「リズちゃんどうしたんだい?おかわりか?」
「あ、いや、声が聞こえたから…ねぇ、あれ誰?」
「ああ…デュバルだよ、さっきの」
「………え、あの仮面の男?!顔が全く違うけど!!」


確かに今、見覚えのない男も「デュバルだぜ」って名乗ったけど。
ぽっかーんとしていると、コックくんが骨格を変えたんだよ、と教えてくれた。そういえばコックくんが強烈な蹴りのラッシュを浴びせてたんだっけ…それでそのまま気を失ったから、私達はあの場所を離れたんだった。つまり、あの蹴りのラッシュによって仮面の男の骨格が変わったってことになるけど…そんなことができるの、この人。
すごいなぁ〜と感心しながらタコ焼きをまたひとつ頬張り、明らかに性格まで180度変わったように感じる仮面の男の声に耳を傾けた。傾けたのだけれど、…テンションが高すぎるのと、あんまりのうざったさに思いっきりしかめっ面になる。
うっわぁ、さっきまでの恨みつらみはどこにいってしまったんだろう。全て骨格を変えてくれた感謝にすり替わった、ってとこなんだろうか。何にせよ騒ぎが丸く収まったなら万々歳だ。すでにバッチリ巻き込まれた後だけど!


「ほんじゃ若旦那達!!これ、おれの電伝虫の番号なんで。いつでも呼んでくれ、必ずあんたらのお役に立つぜ!!」


番号を書いたメモをひらひらさせながら、バチンッとウインクをしたけれどできてない、できてない。今までしたことがないからなのか、それはもうド下手くその不格好。ツッコミを入れるだけ無駄な気がするから何も言わないけど、顔立ちが変わるだけでここまで変わるものなのね…人って。うん、学んだよキャプテン。
そして仮面の男達は、『トビウオライダーズ』から『人生バラ色ライダーズ』に改名したらしく、とても楽しそうに去っていきましたとさ。というか、掛け声?が「イエス、ハンサム!!」って何だ。


「…なんかめっちゃ疲れた」
「今、お茶を淹れるから待ってて」
「食べ終わったの?コックくん」
「うん。さすがに腹いっぱいだよ」


私ももうお腹いっぱいだな〜、とタコさんの船を見下ろすと、甲板にはお腹をパンパンに膨らませた麦わら・狙撃手くん・トナカイくんが寝転んでいた。ずーっとタコ焼きを焼いてくれていたタコさんは、さすがに疲れたのかその場にバタリと倒れ込んでいる。
片付け、手伝った方がいいのかなって思って声をかけたけれど、人魚さんに大丈夫だよってにこやかに返されちゃった。


「ニュー、いいんだ、これはお礼だからな」
「そっか。…タコさんごちそうさま!すっごく美味しかった」
「ニュ!本当か?」
「うん。ありがとう」


お礼を言えばまた嬉しそうに笑うタコさんと人魚さんに、自然と口角が上がるのを自覚した。

- 42 -
prevbacknext
TOP