永久の別離
―――パキン…ッ
何かが、砕け散る音がした。僕の中で、何かが弾ける音がした。
侑子さん―――次元の魔女が、亡くなったのだと…わかった。
あの人の時間も止められていたから、それが動き出した今…侑子さんはこの世にはいられない。
元々は生と死の狭間にいた人だもの。役目を終えて…死を受け入れたんだ。
「さようなら…もう一人の"私"」
もう一度、生を与えてあげられなくてごめんなさい。
貴方がいなくなることで悲しむ人がいるってこと、わかってはいたわ…けれど、それでも夢は終わらせなければいけないと思ったから。
何よりも。貴方自身が終わりを望んでいたから。
―――…貴方が気に病むことはないわ
…そうですね。貴方ならきっと、そう言うと思ってました。
だけど、心ってそう簡単にいくものではないでしょう?侑子さん。頭では理解していても、気持ちはついていってくれないから。受け入れるまで、時間がかかるから。
飛王様も…きっとそうだった。
「―――…もう、次元の魔女はいません」
「な、に…?」
「どの世界にも、次元にも、もうあの人はいない。死んだ人はもう二度と―――蘇らないの、飛王」
―――フワッ…
醒めない夢は、何処にもないから。過去を振り返っても、嘆いても、どれだけ悔いたとしても…何一つ戻ってこない。
亡くなった人もそれと同じなんだ。戻ってこないんだ。
どれだけ願っても、祈っても、誰も―――神だって、その願いは叶えてくれないんだよ。理を崩してしまう、禁忌だから。
それは…貴方もわかっていたはずでしょう?飛王様。
だから、もう全てを終わりにしましょう。全てを終わらせて、静かに眠りましょう。
全ての終わりを迎えた時、何もかもを失ってしまうとしても、崩壊してしまうとしても…前には進むことが出来るから。
黒鋼くんが、ファイくんが、シャオが、モコが、さくらが、小狼くんが、姫さんがいる。皆を…信じてるもの。
「わたしの羽根…どうか覚えているなら、全てを刻んだままに」
―――シャーン
「やめろぉ!!!」
「還して」
4人が閉じ込められている器にヒビが入る。飛王様は反撃しようとするけれど、もう…遅かった。
瞬時に反応した黒鋼くんがあの人の懐に入って―――――その身を、切り裂いた。
黒いモノに包まれ、切り裂かれたあの人の体は少しずつ崩れていく。
小狼くんの時と同じように、パキパキと音を立てて割れていく。
「…小狼、お前と私は同じ……お前も己の罪の…対価を……払え…」
黒いモノが2人の小狼を絡め取る。2人のさくらは外に出られたのに、彼らが出てこない…!
まさか…最後の最後まで、あの2人に対価を払わせようとしているの?!どれだけ、苦しめれば貴方は―――――!
グッと拳を握り込んだ時、地を這うような低い声が鼓膜を揺さぶる。
「こ、れで終わると思うな……発動、するぞ―――我の、最後の呪いが」
その言葉が紡がれたと同時に、世界が真っ赤に染まった。
「な、ぜだ…貴様も最後まで、私に逆らうのか―――緋月…!」
―――ガシャァンッ…!
「始めたことは…終わらせなければ、いけないから……っ」
負の連鎖は、ここで食い止めると決めた―――――。