02


「意外としぶといね」
「うん、しぶとい。まだ"死"なないんだね」
「脆いくせに、弱いくせに…生意気だ」
「クスクス…もう強引にいっちゃおうよ」
「そうだね、強引にいっちゃおう。もう待つのも飽きたよね」
「うん、飽きちゃった。早く―――」

「僕達ト 遊ボウヨ、緋月」


 side:ファイ


―――ドクンッ

「―――――ッ!!!」
「緋月?」
「ゴホッ…ゲホッゲホッ」

―――ボタッ…

「っ緋月ちゃん?!!」
「おいっ大丈夫か!!!」


突然、緋月ちゃんが咳き込んだかと思えば…大量の血を吐き出した。
本当に急に、だ。
さっきまで辛そうではあったけど、こんなに顔色は悪くなかったから。

おかしい…この悪化の仕方は、いくら何でもおかしすぎる。
流行病に罹ったのは、症状からして間違いないとは思うんだ。高熱と、浮き出た蔓の紋様。だけど…こんなにもすぐに悪化するものなのか?!
彼女の話によれば、限界が来たのが昨日だと言っていた。
そこに嘘はなさそうだったけど…万が一、嘘をついていたとしても!それでも悪化するスピードが速すぎる。


「とりあえず、部屋に運ぼう!黒様、彼女を部屋にっ小狼くんとサクラちゃんは、ありったけのタオルと氷を用意して!あと水もお願い!」
「「は、はいっわかりました!」」
「わかった。…おい、緋月。しっかりしやがれ…っ今、部屋に運んでやるから」
「ハッハァ…ッハァ…ッ」
「マズイ。呼吸がかなり浅いな……緋月ちゃん、聞こえる?!」


黒様に抱え上げられた緋月ちゃんに声をかければ、薄っすらと瞳が開いた。良かった…まだ意識はあるし、オレの声も届いてる。
このまま浅い呼吸を繰り返してると、過呼吸になりかねない。ひとまず、呼吸を落ち着かせないと。
ゆっくり呼吸をするように促せば、軽く咳き込みながらも徐々に呼吸が正常に戻っていく。それでもやっぱり苦しそうなんだけど、さっきよりはマシみたいだね。


「…少し揺れるぞ」

―――ドサ…ッ

「あり、がと…」
「無理して喋るな。今は…いいから」
「そうだよ、緋月ちゃん。良くなったら聞かせて?お礼も、謝罪も」
「……!」


どうしてわかったの、とでも言いたげに目を見開いた。
ふふっそんなに驚くようなことかなぁ?…わかるよ。君が考えそうなことくらい。
とても、とても優しいから…気に病んでるんでしょ?オレ達に迷惑かけちゃったこと。
でもそれが嬉しくて、お礼も告げたくなったんでしょ?

いいんだよ、迷惑なんかいっぱいかけてくれて。
そうでなくても緋月ちゃんは、たくさん我慢しちゃうような子なんだからさ。これくらい何でもないんだ。皆もきっとそう思ってるから。
だからさ、緋月ちゃん。今は何も考えずに、ゆっくり休んでいて?君がこうなった原因も、治す方法も…必ず見つけ出すって約束するから。絶対に助けるからね。


「このまま死なせたりなんか、しない。…そうでしょ?黒様」
「当たり前だろ。絶対に助けてやる」


恐らく、残された時間は少ない。
オレ達の戦いが、始まった―――――。
- 79 -
prevbacknext
TOP