恋い、想い、焦がれる


内心、断られるだろうと思っていたんです。拒否されている、と感じたことはないけれど、でも少し触れただけで頬を赤く染めるのが常の彼女ですからね…だからきっと、了承はしないだろうと。言うだけ言ってみよう的なアレだったんです。
…そしたら、僕の考えとは裏腹に了承の言葉をもらって。少しだけ驚いてしまいました。



 side:八戒




―――チャラ、

「ずっと、…つけていてくれているんですね」


胸元で光るネックレスは、少し前に僕がプレゼントしたものだ。買い出しに行った時、珍しく香鈴が何かを凝視するように見つめていて、それが何か気になって…ふっと視線を向ければ、そこにあったのは女性が好みそうな可愛らしいアクセサリーが並べられた小さなお店。
普段は僕達よりも男らしい部分を垣間見せる彼女だけれど、やっぱり可愛らしいものには心惹かれるんだな、って思った。そう思ったら、プレゼントしたくなっちゃって。こっそり買いに行ってプレゼントしたら、思った以上に喜んでくれて。そしてとても似合っていた。

このネックレスを見る度に彼女は僕のものなんだ、と勘違いしてしまいそうになる。大事にしてくれているのを見ると、期待してしまいそうになる。
悟浄や悟空、三蔵に触れられても表情一つ変えないし、ましてや頬を赤く染めることだってないのに、僕が触れた時だけ赤くなるのは―――ねぇ、香鈴。どうしてなんですか?

期待するだけ無駄だと、恥ずかしい思いをするだけだとわかっているのに、それでも…どうしたって僅かな希望を捨てきれないんです。

(いっそのこと―――フッてくれれば楽なのに、)

そう何度思っただろう。でもきっと、フラれたとしても僕はずっと貴方のことを想い続けるんでしょうね。


「…ん、」
「香鈴―――貴方が好きです、大好きなんですよ」


閉じられた瞼へ口づけを1つ。
必ず、今度は起きている時に必ず告げますから、だからその時は僕の話を…聞いてくださいね。
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