6月16日
急に気温が上がった。日中は蒸し暑くて、夕方までじっとりと汗ばむような気温が続く。そういえばもうすぐ夏至だ、と気づくほど、日が長くなった。
「おーい。生きてるか」
いい加減、エアコンを買おうとは思うのだが、何だかんだ毎年扇風機で乗り切ってしまって、購入のタイミングを逃していた。今日も帰宅するなり、畳の上で伸びているシュウを見つけて、やっぱり導入すべきだろうかと考える。
「まだ生きてる……」
「アイス買ってきた」
「食べる」
「スイカとメロン、どっちがいい?」
「…………メロン」
窓を開け放っていても、吹き込んでくる風は生ぬるい。本格的な夏はまだ遠いのに、今からこの状態では、先が思いやられる。
そこまで考えて、いや1か月だったな、と思い直した。
もう6月も半ばを過ぎた。実質、あと3週間くらいだ。
「そういや、最近、誰か引っ越してきたっぽいんだよな」
「このアパート?」
「……か、すぐ近くか。引っ越しトラックとか見なかったし、近所かもな」
「ここだとしたら、物好きだな」
「いまどきエアコンもねーしな。まあ、安いんで助かるけど」
シュウは妙に渋い顔をして、メロン味のアイスバーに齧りついた。
ちなみにオレはスイカ派だ。個包装で買うときは必ずスイカにするが、今日は箱で買ってきたのでメロンも入っている。まさか進んでメロンを選ぶやつがいるとは思わなかった。
「シュミあわねえなあ」
何の気なしに呟いた言葉に、シュウは小さく片眉を上げた。
「そうだろうな」
からかうでもなく、皮肉るでもない。落ち着いた同意が少しだけ意外で、ほんのしばらく耳元に残っていた。