7月1日
現金なもので、6月から7月に変わったというだけで、一段と暑さが厳しくなったような気がする。
「あっちー……」
深夜のオフィスに一人、見る者もなしとネクタイを緩めた。取引先からもらったミニうちわで、襟元からぱたぱたと風を送り込む。
エアコンの設定温度は26℃で固定されていた。数年前は28℃だったので、少しはマシになったのだ。焼け石に水という程度だが。
「……7月か」
さて、シュウの誕生日が来る。
じつは我らがBRRの社長も同日に誕生日だが、そちらは毎年酒を奢っているので労はない。事務所のヤツらも祝うだろうし、オレも例年通りでいいだろう。
問題は、ここ数年祝ったことなどない友人の誕生日だ。
「何年ぶりだ? えーと……」
指折り数えてみて、月日の早さに驚く。祝えなかっただけで、一度も忘れられなかった未練がましさにも。
「……はあ」
とはいえ、今年だって当日祝えるかどうかはわからない。
その前にシュウがいなくなる可能性も高い。おまけに、この機を逃せば次があるのかどうかすらわからないのだから、始末に負えない。妙なプレッシャーを感じて、気分が悪くなってきた。
こういうとき、一人で悩んでも事態が好転する見込みはない。
「本人に聞いてみるか」
タイミングよく、メールソフトの通知が待っていたメッセージの受信を告げた。さっさと終わらせて、今日はもう帰ってしまおう。