6月12日


 目を開けたら、目が合った。

「おう……」
「? おはよ」
「……はよ」

 喉奥に塗り込めるように、声を押さえて寝返りを打った。
 布団は二枚敷いている。一つはずっと使っているもので、もう一枚は職場の先輩に貰った。客用の布団があってもいいだろう、と。
 実際、クロウやヤイバが泊まりに来ることは珍しくない。あるいは、彼らに布団を乗っ取られてしまうことも少なからずある。一人暮らしには不要な客用布団も、状況次第ではそれなりに出番があった。

「……」

 見られていたな、と考える。
 
 目が覚めて、目を開けたらシュウと目が合った。シュウは視線を逸らすでもなく、じっと見つめてきた。どう反応するのが正解だったのか、誰か教えてほしい。

「……シュウ?」
「んー……」

 背中にぺたりと張り付かれる。
 Tシャツでも着ておけばよかった。もはやそういう問題でもない気はするが、ぬるい体温が背中に張り付いて、物慣れなさに鼓動が早くなる。

「もう少し寝てれば?」
「いや、そうもいかねえだろ……」

 じりじりと布団を這い出す。なぜだろう。とっくにバレているのは承知の上で、離せとも言えず、掛け布団の下から静かに抜け出した。

「あー」
「平日にやるな」

 じゃあ、休日ならいいのか?
 明確な答えを掴みそこなって俯く。シュウはなぜだか面白がるように喉を鳴らした後、オレの尻尾をぎゅうと引っ張った。もちろん、顔面を叩き返しておいた。