※要と仲が良かった夢主
HiMERU くんてこんなに色っぽかったかな。気が付いたら私よりもぐんと身長も伸びて、可愛らしい顔は美しく色っぽい。
レッスン終わりに差し入れたペットボトルの水を喉を鳴らして飲む姿に胸が騒いだ。
綺麗な顔に対して上下する喉仏を眺めながらやっぱりHiMERU くんは男の子なんだと実感する。
唇の端を伝う水滴に目が離せないでいると、その雫は顎を伝いぽたりと足元を濡らした。
「何をそんなに見惚れて居るのですか」
まるで愛玩動物を見つめる様な眼差し、優しい声色で急に羞恥心が込み上げる。
私は今、HiMERU くんを観察していただけだ。それ以外に何もないはずだ。
「あんなに可愛かったHiMERU くんが成長したんだなぁと感慨深くなってただけだよ」
ナマエちゃん!と後をついてきた可愛いあの頃とは想像もできないほど色っぽい青年へと成長してしまった。嬉しいような悲しいような複雑な感情が胸を渦巻く。
就職で地方へ行き、戻ってきたらこんな色男になっているではないか。
「貴女の後を追いかけていたあの時より少しは大人になりましたか」
ナマエちゃんがお姉ちゃんだったらいいのに!なんて言っていた面影なんて無い。別人なのではと疑ってしまいたくなるほどに。
「そうだね。あの頃とすると急成長を遂げて驚きしかないよ」
「少しでも貴女に追い付きたくて。なんて言ったらどうしますか」
するりと伸びたHiMERU くんの手は私のシャツのリボンタイをゆっくり引っ張る。するすると静かに音を立ててリボンは解けた。
今何が起きているか理解しようにも脳が追い付かず、息を呑む事しかできない。
「お、お姉ちゃんを揶揄うのは辞めなさい」
「お姉ちゃん?誰がですか」
「HiMERUくんにお兄さんが居るって分かった時に私にお姉ちゃんになってって言ったの覚えてない?」
実はHiMERU くんには歳の離れたお兄さんが居たらしい。それを知った時は嬉しそうに教えてくれた。その流れで私に姉になってと言ったのだ。
「ほぉ…」
腕を組み、顎に手を当て何か考える素振りを見せる。残念ながら私はその考えを予想する事は出来ない。
「数年前の話だから覚えてないかもね」
いたずらに解かれたタイを結び終えると、指先に低めの体温を感じた。胸元から正面へ視線を移すと綺麗な笑顔が視界に飛び込んでくる。
「いっそのこと本当にHiMERU のお姉さんになりますか」
記憶の中の可愛いとは異なり綺麗が似合う笑顔。こんな顔もするんだ。また1つ新たなHiMERU くんを知る。
「やっぱりお姉ちゃんになって欲しいの?可愛いね。でも悪戯でもリボン解くのダメだよ。いつか襲われても知らないよ」
肉食な女性にだけはしないでね。私の可愛い
HiMERU くんが大変な事になってしまう。
「ナマエさんにしかしませんよ。おや、欲求不満でしょうか?HiMERU が付き合いますよ」
そう言って自然に腰を抱くのも気を付けてほしい。どこで覚えたの。
「ねぇ、ちゃんと聞いて…」
鼻腔をくすぐる甘くて爽やかな香り、視界に入る綺麗な勿忘草色、唇の柔らかい感触。
まさかキスされるとは思わなかった。何がおかしいのかHiMERU くんは少し笑っている。
「ちゃんと聞いますよ。本当にお姉さんですか?ただの可愛い女性なのですよ」
こんなに男の人に口説かれた事があっただろうか。このまま流されてしまいそう。
私の頭の中であの頃のHiMERU くんが問う。ねぇ、セクシーなの?キュートなの?
今なら私は全力でこう答える。どっちも好きだよ!!!と。
「考え事ですか?ほら、HiMERU だけを見て」
お姉ちゃんと弟はこんな事しないでしょ。もう一度重なる唇に考える事を放棄した。
このまま唇をこじ開けて舌を絡めたらHiMERU くんはどんな反応をするだろう。驚いたりするのかな。なんて考える。
「今月誕生日だよね。何が欲しい?」
キスの合間に問いかけるとHiMERU くんはふふっと笑った。その唇は欲しいものを答える事なく私のそれと重なった。
Happy Birthday!