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 初めての防衛任務が終わり二人と別れてから換装を解いて街灯の少ない帰路を歩いていると、無性に甘いものが食べたくなったのでここら辺に一件しかないコンビニにフラフラと立ち寄り、二つ氷菓を買ってコンビニを出た。その中の一つを口にくわえ、シャリシャリとアイスを咀嚼しながら今日の防衛任務を思い返す。
今日の初防衛任務は相手が嵐山隊だったからうまく立ち回れた、悔しいけど。嵐山隊とは昨日のうちに面識もあったし、俺の持つ微妙な実力も把握していてくれていたお陰で大きな敵意を向けられることは無かったし、懐の大きい嵐山が隊長で隊員もイイ人ばかりだったことも相まって初めての防衛任務でトラウマを植え付けられることも無かった。けれど、俺に対して好意的なのは本部内でも少数派だということは忘れてはいけないし、自分が今どれだけ恵まれた環境に身を置いているかを忘れてはいけない。
自分の知識不足も力不足も、全部事実として受け止めなければ。

「今の俺は確実に、堅実に、誰かのために」

夢の中でも思った言葉を小さくポツリと呟いてからまたシャリシャリとシャーベットに近い氷菓を食べながら歩みを進めていると、食べ終わる頃に孤児院へ到着した。
子供たちに見つからないようにもう一本を外で食って行こうかなと考えながらアイスの棒をビニール袋に突っ込むと、その袋の擦れた音とは別のジャリッと砂を踏んだような足音が孤児院の入り口から小さく聞こえた。その音を耳で拾ってから咄嗟に顔を前に向けると暗闇でよく見えないが孤児院の門の近くに誰かが寄りかかって居るのが辛うじて確認できたため俺は少し危機感を抱きながら、目を細めて夜目を効かせるように努める。
袋から手を抜いて少し臨戦体勢をとっていると俺が見えるようになる前にその目の前の人物が俺に一歩近付いてきたので、俺は少し縮まった距離に眉を寄せながら変わらず目を凝らしてその人物の正体を探る。すると、その人物は俺の態度に何かを思ったのか一度立ち止まり「あー……」と煩わしそうに頭を掻く仕草をした。

「…………お前」

その声とうっすらと確認できる髪の毛の質感だったり身長だったり感じ取れる雰囲気に既視感を抱いた俺は一人の人物に思考が行き当たり、一歩近付いて顔を視認出来る距離まで近寄る。

「よう、覚えてるか」
「…………何年かで忘れるかよ」
「おぉ、相変わらず俺に対して当たり強いよな、お前」

俺の強めの言葉に目の前に居る長身の男は俺を見下ろして「これが流行りのツンデレか」と見当違いな結論に落ち着くと、俺の頭に手を乗せてからかうようにガシガシの撫でまわしてきたので俺は特に抵抗する気も起きなくて暗闇の中でされるがままになる。
自分の髪の毛が相手の手によって徐々に絡まっていくのを感じながら久々に聞く一つ年上……つまるところアキちゃんと同じ歳であり、同じ剣道仲間だった太刀川慶の声を聞いて顔をしかめ、あの頃の日々を少し思い出す。

 同じ道場で同じ年齢の二人が仲良くならない筈もなかったのだ。
初めは道場での稽古が終わるとその延長線上とでもいうように孤児院に乗り込んで夕飯に参加してくるだけだったのが、いつの間にか学校終わりの放課後にも遊びに来るようになり、アキちゃんも俺達を紹介しだすし子供たちも喜んで一緒に遊びだすしで慶と俺達は深い仲になっていった。それに対してアキちゃんをとられたように感じ面白くなかった俺は、ほかの子供たちとは違ってあまり慶に良い思いを抱いていなかったし、ソレに気づいている慶が面白がって俺にちょっかい出しきたり無理矢理勝負をしかけてくるのもあって俺はあまり自分から慶に関わろうとはしなかった。なにかと勝負には大体負けてたし。
けれど、俺もあの時よりは歳もとって、しかも何より今現在慶に対しては少し負い目を感じていることもあって俺はあまり拒絶することはないし出来もしない。

「何か用? こんな時間に」
「お前が帰ってこないからこんな時間になったんだろ」
「……俺が数時間前に出たときには居なかったから、どっちにしろ遅い時間だろ」
「……それもそうか」

といっても、この怠惰の申し子である慶がここまで人を待つってことは結構大きな用があるってことなんだろうけど、アキちゃんが居ない今となってはコイツがこの孤児院を訪れる理由なんてないはずなのに。
そんなことを思いながらいつまでも俺の頭の上に乗っかっている慶の腕を退かせてその俺の頭より上の方にある抑揚のない瞳を改めて見つめると、視線を受けた慶は返すように俺の顔をまじまじと見つめて首を傾げる。その不思議そうな『違和感』という視線を受けながら慶に対してわざわざ詳細な視線を読み取る気にもならないので直球に口で問いかけるとその当人の慶はずいっと俺の顔に自分の顔を近づけ、観察するように俺をその瞳に映した。

「……」
「……」

慶の目に映る自分の姿を見ながら特に何を言うでもなくじっとしていると、気の済んだらしい慶が俺から離れて何かに納得したように何度も頷き口を開いた。

「お前、イケメンになったなあ」
「……」
「暗くてわかんなかったけどよくよく見ると結構イケメンじゃん」
「……」

視線を向けられてた時から何かを期待していたわけでもないけれど、いざどうでもいいことを言われると少しイラッとくるのは仕方ないよなと自分自身を納得させながらも、実質褒められたので意図的に口を噤むことにする。

「慶は相変わらず目が死んでんな」
「生きてるだろ、キラキラしてんだろ」
「はいはいキラキラだね……で、何の用?」

その死んだ目で反論してくる慶に俺は視線を逸らしながら適当に相槌をうって話を進めようと、横道に逸れた会話を修正するように本題に戻す。

「ああ、用な、用」

本気で忘れていたのかそう見せかけているだけなのか知らないが、慶はポンと古典的に手を打つと一瞬空を仰いでからすぐに俺を見下ろし、いつもの調子と無表情で一言告げる。







「お前のブラックトリガーって、紀晶か?」




「、っは?」


その「今日って何曜日?」みたいな軽い確認するときのニュアンスでさらっと重大な発言をぶつけてきた慶に、俺は思わず一歩後ずさって目を見開く。
なんで慶がブラックトリガーについて知ってる……いや待て落ち着け、それはどう考えても慶が"ボーダー隊員だから"と認めるほかはない。アキちゃんがボーダー隊員だったんだから仲の良い慶もボーダー隊員になっていてもおかしくないし、慶の性格的に考えても……って重要なのはそこではなくて、"どうして俺がブラックトリガーを持っていることを知っているのか”だろうが。だって、このことはボーダー内の、わずかなB級隊員とA級隊員にしか伝わってない情報の筈。

「ちょ、待て、整理しよう」
「? 何をだよ」
「まず、慶はボーダー隊員なの、か?」

慶の質問をスルーして尋ねると慶は訝しげな顔をしてから「知らなかったのかよ」と拗ねるようにそっぽを向いて呟いたけれど、結局のところ答えはイエスということだ。

「俺今、個人で一位なんだけど、人気者なんだけど」
「……おえっ、まじかよ」
「おいどんな反応だよソレ」

そういえば今日学校に行くまでの道のなかで迅が今のA級一位チームの隊長は攻撃手の一位とかなんとか言ってたけど、マジかよ……慶がその凄い人物だってことは情報も本人も示しているのに、なぜか全然納得できないし認めたくないのは多分俺がコイツのボーダー隊員じゃない面しか見て来なかったからだろう。ということは、今日あたり上層部から俺のことを知らされて、それで俺をこうやって待ち伏せていたのか。

「ってか、もしかして弧月使ってる?」
「おっ、よく分かったな」
「やっぱり……弧月じゃなくてよかった」

アキちゃんが弧月を使っていたのを知っている身としては剣道つながりでそうとしか考えられないし、もしかしてだけどアキちゃんが慶の剣さばきに惚れていたのは、剣道のことだけじゃなくて弧月のことでもあったんじゃなかろうか。まあ、今も剣道を続けているのかは知らないが。
なんて今までの見識が今の慶の一言でいろいろ変わってきているが、そんなことを知らない慶はマイペースにコートの襟を正してから俺の手に持つ袋を覗き込んで氷菓の存在を見つけると、勝手に袋を取り上げてそのオレンジ味の氷菓のビニールを開けだす。

「……俺だから何しても良いと思ってんだろ」
「…………ダメなのか?」

さっきと同じように心底不思議そうな顔で首を傾げてくるものだから俺が諦めて「いいけどさ」と投げやりに呟くと、慶は満足そうにニヤついてから空になったビニールをレジ袋に突っ込む。
…………寒いときにこそ冷たいものって言ったけれど、見ている方としてはあまり良いものじゃないな。

「んえ、ほっちはんらよ」
「え? どっちなんだよって? 何がだよ」
「ほひあひ」
「……ああ、アキちゃんがブラックトリガーなのかってやつか」

そのオレンジ色の四角い氷菓を咥えながらしゃべり続ける慶に少し呆れながらも、何年前か前からの付き合いになってしまっている慣れからか読み取れてしまったのでそのまま会話を続ける。
アキちゃんのことで慶にも負い目がある俺は、本当のところあまりこの話に触れたくない。言い方を変えれば俺がアキちゃんを殺したんだからな。

「、このブラックトリガーはアキちゃんだよ」
「だろうな、兄ってなったらあいつしかいねえ」
「……その、経緯は聞いたのかよ」
「まあ」

シャリシャリと咀嚼音を鳴らしながらアイスを見つめる慶は俺の声に反応するだけで結果的に何を言いたいのか明確じゃない、そしてそれがまた俺を困らせる。視線も誤魔化そうとしていることしか分からない。

「それだけを聞きに来たのか?」
「まさか」
「……じゃあ、なんだよ」
「そんなん決まってんだろ」

俺の問いに慶は氷菓を大きくガリッと噛むと、ソレを口の中で砕いて飲み込んでから棒に突き刺さってる歯型のついた氷菓を俺の目の前に突き出し、真面目な表情で口を開いた。







「そのブラックトリガーで俺と戦え」




「……はあ???」


さっきまで死んでいた慶の目が生気を帯びたようにギラリと光ったかと思えば、まるで戦闘狂のような発言とともにそれを俺に向ける。自分の友人がブラックトリガーになったという事実に対してその発言をするのはいささか不謹慎なような気がするが、慶にそんな不謹慎とかいう概念を説いたところで意味がない。それに多分慶には慶の考えがあるんだろうから前提としてもここで俺が慶に何かを咎める権利は無いわけで。

「…………でも、本部でブラックトリガー使うこととか許可されねえよ」

俺が特例として許可されたのは永続的なC級という建前と防衛任務においてのブラックトリガーの使用のみであって、ランク戦や合同訓練はもちろん個人戦でも模擬戦でもブラックトリガーの使用は許されていない。

「だったら、防衛任務中にやればいい」
「…………私闘禁止だろ」

目の前に突きつけられた氷菓から溶けて滴り落ちる薄いオレンジ色の水滴を見つめながら呆れて呟く。

「私闘じゃねえ、じゃれあいだ」
「…………あのさ、それで本部が納得するわけな…………あっ」
「ん?」

ぽたり、と何度目かわからない氷菓の水滴が地面に染み込んでいったのを視認したのとほぼ同時に、本部も認めてくれるんじゃないかと思えるような方法を思い付いた。いや、思い付いてしまった。
ここで「何でもない」とか言っても通じないんだろうな。

「…………あー、俺今度、このブラックトリガーを解析するのに技術開発室行くんだけど」
「へえ」
「そんとき、慶の都合が良ければブラックトリガー解析の相手役、やれば」
「…………おお、なるほどな。本部で堂々と闘えるわけか」

俺の答えに感心したように頷く慶に俺は少し目を細めてから「溶けてんぞ」と素っ気なく教える。こんなに寒いのに溶けるもんだな。
それに、そんなに好いていない人間が相手だとしても、俺からしたらちっとも闘いたくなんか無いし、ましてやアキちゃんのブラックトリガーを使ってアキちゃんの友人と闘うだなんてアキちゃんは許してくれるだろうかなんて不安に思う。

「じゃ、その日程決まったら連絡しろよ」

そう言って溶けかけている氷菓を舌で舐めとる慶に俺は内心で馬鹿か? と思いながらそれを押し込め「連絡先知らねえし」と呟くと、慶は一瞬ピタリと止まってから、アイスでベタベタになっていない方の手で携帯を取り出してソレを俺に手渡して来る。

「面倒だからやっといてくれ」
「はあ…………」
「その間に食っとくから」

ゴミくらい自分で処理しろよ、と思いながら慶の携帯を受け取って自分の連絡先を登録し、次に慶の連絡先を自分の携帯に登録する。その時に慶の携帯にうっかりアキちゃんの連絡先を見つけてしまって「まだ慶の中にはアキちゃんがいるんだ」と不意に感じたが、俺は自分の何も見なかったかのように振る舞って慶のジーンズのポケットに許可なく携帯を返す。

「ほら」
「おっ、さんきゅー……あっ遠征前でよろしくな」
「遠征…………行くの?」
「まあ、志願したからな」

それだけ言って裸になった棒を袋に突っ込んでからなんの躊躇いもなくソレを渡してくる慶に溜め息を吐きながら受けとると、慶はそれから何を言うでもなく俺の横を通り過ぎて「さむっ、…………じゃあな」と素っ気なく呟いて立ち去っていった。
飄々と隙だらけのように見えて実はとりつく島もない慶の雰囲気が何となく誰かに似ている気がして、俺はどんどん遠ざかる慶の足音を聞きながらどっと湧いてきた疲れに一人息を吐いてからふと、慶の言葉がひっかかって首をかしげる。


「志願…………?」









             

 そろりそろりと所謂抜き足差し足忍び足で廊下を渡り、一番奥にある角部屋の自室を目指す。二十三時を過ぎているため夜更かしに慣れていない子供達はもう夢の中で、さっき通りすぎたカズエさんの部屋も灯りが点いていなかったからきっと既に寝ているのだろう。そう見当をつけて自室の扉である木製の引き戸を引き、中に入ってそっと鍵をかけてから色々なことが重なった割に遅く感じられた今日一日のことや、さっきの慶との会話を思い返してうつ伏せでベッドに倒れこんで布団に顔を埋める。

<大丈夫だ、きっとうまくいく>

未来の視える迅は俺にそう言ったけれど、今日初めて防衛任務をしたり慶の最後の言葉を聞いて、俺は改めて迅の言葉に対して不安を覚えた。
アキちゃんのブラックトリガーの存在を本部に申請したことや解析させたことについては俺も特に異論はない。隠していることで俺が死ぬと言われたことはどうでもいいとしても、こうやって申請することで誰かのために沢山の機会の中でブラックトリガーを使えるようにもなったんだから。
でも、防衛任務だけは…………やっぱり承諾するべきじゃなかったかもしれない。一番守らなきゃいけないものの近くに居るために元々遠征は行かないつもりだったし、防衛任務にも行かないつもりだったからB級には上がらないと決めていた。
それなのに、防衛任務だなんて、こんな時間までここから離れるような仕事を…………。

「なにやってんだ、俺」

遠征の存在についてはボーダーに入ってから知ったけれど、A級の中でも志願した者にしか当たらない仕事であることは今、慶との会話の中で初めて知った。

つまり、A級に上がる努力をしない理由のなかから『遠征』という項目は今消えてしまった。A級になったって遠征は必須じゃないんだから。
そしてB級については『防衛任務』があったが、今こうやってC級でいながら防衛任務をこなしているため『防衛任務』はB級に上がらない理由にはならない。

「つまり今のところ、俺がC級でいることに得があるとするならば」

チームを組まなくてもいいという点と、他の隊員からの世間体のためにブラックトリガーとは別に訓練用トリガーが与えられているという二つのことだ。
B級やA級になればチームを組むことは多分必須であり、S級であれば訓練用トリガーを与えられることもないからチーム無しの個人でトリガーを二つ所持することを認められているのは俺の立ち位置のメリットだろう。
だから、防衛任務という一つののデメリットより今の二つのメリットが上回っていれば、俺が不安に思う必要はないということだけど。

「…………全然ダメだな、これ」

自暴自棄になったようにがばっ、とうつ伏せになっていた体をベッドの上でごろんと反転し、仰向けになってそう呟く。

「なんでもっと早く誰かに聞かなかったんだ…………遠征のこととか、ボーダーのことを」

その二つのメリットはボーダー隊員としてのメリットであってアキちゃんから役割を与えてもらった俺自身のメリットではないし、直接的に孤児院の人達を守るメリットでもない。不特定多数の誰かのためになることも勿論必要なことだけれど、ソレよりも優先して孤児院の人達を守らなければきっとアキちゃんに怒られる。アキちゃんはいつもなによりも俺達を優先してくれたから。その事が他人から見てどんなに愚かなことだろうと、それでも、俺にはアキちゃんが正しいから。
昨日屋上で話したときに俺がもっとボーダーに詳しくて、ボーダーから見たブラックトリガーの重要さにももっと気付いていればもっと違う形で交渉したのに。防衛任務を承諾しなければ俺はただのC級としてもっとみんなの近くに居られたし、ただ"俺が近い未来死ぬだけで済んだのに"。
俺が死ぬことでがどうとか迅は言っていたけど、市民とかいう大枠より小さい規模の大切なものを守れればそれでいいのに。

「ばかだ…………俺、馬鹿かよ」

昨日の屋上でのことで俺は二年間やってきたことを無駄にしかけていて、しかもアキちゃんの存在も明るみになったからボーダーを辞めることも出来ない。

「でもその立場に自分で進んでいったんだから、後悔している暇はないのも確か………」

最終的には立ち止まることも振り出しに戻ることも許されなくなった俺は、このまま進んでいくことしか与えられた道はない。
暗がりの中で外にある街灯の光がぼんやりと俺の部屋に光を注ぎ、ソレによって照らされた天井の薄暗さが俺の心を写しているようで思わず目を細める。









「…………大丈夫だ、きっとうまくいく」

表情を隠すように額に手を当てて、迅に言われたばかりの言葉を掠れた声で呟く。昨日屋上で決めたこと、迅を信じてみようって、忘れていたわけではないけれどこのまますがるだけなのが怖くて、少し悔しかったのかもしれない。もし未来の視える迅を信じていれば、今がどんなに不安要素だらけだろうとこうやって悩むことなく進んでいくことも出来たんだろう。

「……信じてみようって、決めたじゃん」

額に乗った手で頭をゴンゴン、と一定の間隔で軽く殴りながら俺は迅を信じることを昨日のような曖昧さではなく、迅と出会えたこと自体に感謝する日が来ると固く信じることを決意する。防衛任務も、俺が進むためには必要だったんだ、きっと。


逃げられないし立ち止まれない
過去を背負ったまま進むしかない、だからその為に迅を信じよう。


そう決めた俺は細めていた目をぎゅっ、と閉じて無理矢理睡魔を呼び起こし、次目を開けた時、空が明るくなっていればいいなと漠然と思った。


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