彼は誰時

「なんで!?」

ガバリと勢いよく起きる。
ああ、なんだ夢か……良かった。
と思ったと同時に体に痛みが走った。

「いっっ!」

「おい、大丈夫か?」

真横から聞こえた男の子の声にビクリと肩が震える。
恐る恐る見ると、髪を高く結いあげた自分と同い年ぐらいの青年が心配そうにこちらを見ている。

「あ、と……大丈夫です」

「ほら、まだ寝てろって」

そう言いながら、私はその少年に体を布団に戻された。
この人は誰だろうか。
目線を部屋へ走らせる。
そこは慣れ親しんだコンクリートでできた洋室ではなく、畳と障子そして木の天井。
ばあちゃん家だってこんな作りではない。
テレビで見た昔の家に似ている。

「あの、ここはどこでしょうか?」

「え?浪士組の宿所……と言っても分かんないよな?京の都にある壬生村って所だよ」

京って京都のことだろうか…。
私は確か東京に住んでいたはずで。

「オレは藤堂平助。同い年だろうし平助でいいよ」

私は、と名乗ろうとした時、

「お前は井吹龍之介って言うんだろ?」

「へっ?」

驚いて藤堂と名乗った青年を見ると呆れたような顔しながら口を開いた。

「……この間、少し目を覚ました時、そう名乗ってたじゃんか」

「そ、そうだったね」

全く記憶がない。どういうことだ。
しかも龍之介って男の子の名前だ。

「あ、食欲があるかどうか分かんないけど、なんか食い物貰ってくるよ」

そう言って藤堂と名乗った青年はバタバタと部屋を出て行った。
ちらりと自分の胸元を見ると真っ平で男の子のそれだった。
なんで男の子になってんだ私は!?
訳がわからない。
混乱する頭でも何故か冷静な自分もいて、体は男の子なんだから男らしくした方がいいのだろうとか、
ナヨナヨしてたら、おねぇみたいだし、この元々の体の持ち主が可哀想だ。
そうだ。なにか誤って魂かなにかが入れ替わってしまっただけなのかもしれない。
てか、まだ夢じゃないとは決まってないし。
とりあえず、さっきの子はは平助と呼び捨てで呼んで自分の事は俺と言おう。とかのんきに考えていた。

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