彼は誰時

「……わかった。俺は戻る」

不承不承、私が頷くと原田はホッとしたよな表情で私の頭を優しく撫でた。

「源さん、龍之介を頼んだ」

原田の暖かい手が頭から離れ、原田はそれだけ言うと身を翻し駆けていった。

どうか……。
どうか皆が無事に戻って来ますように……。
その背に向かって、私はそう祈らずにはいられなかった。

「井吹君、皆は大丈夫だよ。だから、もう屯所に戻りなさい」

ずっと立ち尽くしている私を安心させるように井上さんが微笑みながら、優しく私の背中に触れる。

「……うん……」

促されるまま、私は八木邸へ戻った。
もしかしたら、世話になっている八木さん達にも、なにかあるかもしれない。
そう思った私は部屋から出ないようにお願いをしに行く。
硬い表情で頷く家族に、私はあいつらが必ずなんとかしてくれるから大丈夫。
笑顔を作ってそう言えば、少しだけ八木さん達の表情が緩んだ。

私がその後に向かった場所は、先ほどまで皆といた広間。
誰もいないガランとした広間に入る。

「誰もいない……」

私は独り

「っ!」

言い様のない孤独感と不安が胸を締め付ける。

だいじょうぶ。
きっと大丈夫……。

震えが止まらない自身を抱き締めて、その場にうずくまる。


時折、何かがぶつかったような音や誰かが叫んでる声が前川邸から響く。

皆は無事だろうか……?
怪我をしている人はいないだろうか……?

身体の震えは、知らないふりをして私は顔を上げる。


→ 様子を見に立つ

→ そのまま待つ
back