彼は誰時

山南という男に部屋まで案内してもらう間、ふと空を見上げると日がずいぶん傾いたようで、雲が茜色に染まっていた。
そういえば、高いビルも無い……。
本当に、昔の日本なんだなと今更ながら納得してしまう。

星空とか景色が綺麗そうだな……。


「ここです」

一つの部屋の前で山南さんが止まると私を振り返った。
考え事をしていた私は、その言葉にハッとして山南さんを見る。
その様子に山南さんは首を傾げながらも、部屋の中に声をかけた。

「近藤さん、少しよろしいですか?」

「ん?山南君か。構わんぞ、入ってくれ」

部屋の中からの声に山南さんは襖を開ける。
その後に続くように私も部屋の中に入った。

「おお、君は……。もう、大丈夫なのか?」

私の姿を認めると近藤さんは声を上げた。
一見すると、怖い印象な顔をしていたが、心配そうに私にかけた声はとても温かだった。

「まあ、お陰様でな」

そう言いながら、近藤さんの正面に座る。
山南さんは近藤さんの横に腰を下ろし近藤さんを紹介する。

「……こちらが天然理心流宗主・近藤勇さんです」

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