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「ギュンター!コンラッド知らない!?」
「ああ、陛下が私のために走ってきてくださるなんて……!
このギュンター幸せにございます!……ブフーっ!」
「ギュンター!鼻血、鼻血っ!」
陛下と呼ばれた少年は慌ててティッシュを取りだし渡す。
それをギュンターは受取り後ろを向いてしばらくしてからゴホンっと咳払いをして振り向いた。
「陛下。お見苦しい所をお見せいたしました」
そう言いながらも、鼻にはティッシュが詰め込まれている彼は、フォンクライスト郷ギュンター。
紫の髪と瞳をもつ。その髪の毛はサラサラと長い美形な人物だ。
……陛下ラブ、もとい漆黒フェチで壊れたりしなければ……。
陛下と呼ばれる少年は、渋谷有利。漆黒の髪と瞳をもつ野球少年だ。
この国、「偉大なる眞王とその民たる魔族に栄えあれ
ああ世界の全ては我等魔族から始まったのだということを忘れてはならない
創主たちをも打ち倒した力と叡智と勇気をもって魔族の繁栄は永遠なるものなり王国」
略して「眞魔国」の王様である。
「……ギュンターさ〜。コンラッドどこ行ったか知らない?
さっきから探してるんだけど……」
キョロキョロと回りを見渡しながら不安げに有利は聞く。
「……さっきからコンラート、コンラート……。
……陛下はギュンターのことは大事ではないのですか……っ!?
私はこんなにもあなたを思っているのに……。
ひどい!ひどいです!陛下っ!」
おいおい、とハンカチを出して泣き出したギュンター
そこに、入ってきた人物がいた。
「なにをやっている」
「あっ。グウェンダル……」
いつものように眉を寄せて不機嫌そうに登場したのは、フォンヴォルテール卿グウェンダルである。
有利はグウェンダルのことが少しだけ苦手だ。
「あ、あのさ、グウェンダルはコンラッド知らない?」
ぐしぐしと鼻水やら涙やらさっきから汁気が多いギュンターは放っておいて、グウェンダルにおどおどと聞いてみた。
すると、眉を寄せながらも答えてくれた。
「……さっきグリエから白ハト便がきた。ウェラー卿とたまたま会ったそうだ」
「そうなんだ。よかった〜」
「まだ続きがある。漆黒の髪と瞳を持つ者が現れたらしい。」
「なんだって!?」
「なんですって?!」
見事にギュンターと有利はかぶった。
「なんで、俺と同じ漆黒の人が!?漆黒ってここじゃ珍しいんじゃないのか?そうだよな、ギュンター?」
「え?」
ユーリに聞かれて我にかえったギュンター。
先ほどまでぶつぶつと何かを言っていたので、きっと妄想を繰り広げていたのだろう……。
「ええ。そうです。漆黒の瞳と髪は貴重なものなのです!
きっと、陛下と同じで素晴らしい人でしょうね!」
「どうしよう、ギュンター!?早く助けに行かないと!
きっと俺と同じで言葉がわからなくて困ってるんじゃ?」
慌てふためく有利。
「確かに言葉が通じないようだが、ウェラー卿と一緒にこちらに連れてくるようだ」
「そっか〜。よかったぁ〜。コンラッドがいるなら大丈夫だよな!」
グウェンダルの言葉を聞き安心した有利。
きっとコンラッドとヨザックが一緒にいるなら無事にここまでたどり着けるだろう。
そう思いながらふと見るとギュンターが何かをやらかそうとしていた。
「さあ、歓迎のパーティーの用意を!」
近くにいる兵士たちにそう命令をしていた。
「ギュンター。やめておいた方がいいと思うけど」
「何故ですか陛下!?」
「え。だってこっちに来たばっかりで、わからないことだらけなんだぞ。
それに疲れているだろうし……」
「陛下!ああ、なんて慈悲深いお言葉でしょうか!
わかりました。今はやめておきましょう」
今にも泣きだしそうな勢いで有利の手を握るギュンター。
その行動に有利は顔をひきつらせながら言った。
「言葉はギュンターが教えやってくれよな」
「ええ、もちろんですとも!」
そう言うギュンターの言葉にグウェンダルは眉を一層寄せていた。
まだ見ぬ、漆黒の人物。いったいどんな人物なんだ。
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