鉛筆とあの子
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*プロローグ
静かに待っている。だって一緒に帰りたいから。
私は椅子に反対向きに股を広げて座り、背もたれには腕と顎を乗せている。とても行儀がいいとは言えない。
でも彼女の邪魔さえしなければ何も注意されたりはしない。私なんか視界に入ってないから当然のことなんだけど。
モチーフのペットボトルと分厚い本を睨み付け、鉛筆を時々走らせる姿をただ眺めた。
影を付け始めたところだから後1時間以上完成までに掛かるんだろうな。と言っても夕方になると影が変わり過ぎて描けなくなるから早めに切り上げざるを得ないだろう。
さぁ、終わったらなんて話し掛けよう。
帰り道は何食べよう。
座っている椅子へ前に体重を掛けると軋んだ音がした。そのまま力を掛けると2本の鉄の足が浮き上がる。確かこれを小学校では『ぎっこんばっこん』と呼ばれていたっけ。当時危ないので禁じられていたちょっとした遊び。
でもたまにする子が居たりして、授業中に派手な音をたててバランスを崩してすっ転んでいたっけ。
馬鹿な奴が居たもんだ。
そう気を抜いた途端、ガタンと浮いていた足が急に大きな音を立てて床についてしまった。少しびっくりしてしまう。
「煩いよ…」
「はい、すんません」
低い機嫌の悪そうな声にひやりとする。
それからは本当に大人しくデッサンが終わるのを待っていた。
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