エッセイ *恋愛
鉛筆とあの子
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*止まらないマイブーム



「わ、もっ…」

「えへへ」



最近私にはマイブームがある。


「うちなんかにひっつかんとってよ」

「いいやんか」


初音とスキンシップを取る、つまり抱きしめたり寄り添ったりする事がマイブームだ。


「うん、痩せてるより私はこのくらいが一番好きだね。抱き心地がいいから」

「もう何言ってんの、ちょっと」


子供みたいだけど、嫌がられると余計したくなる。


「初音、可愛い」

「可愛くないー」


「本当に可愛いー」

「だから可愛くないー」


可愛い、と言えば言う程に尚更愛着が増してくる。
でも初音は人がせっかく褒めているのに、照れたり御礼を言うことはなくて、いつも可愛くないと否定した。

むず痒い気持ちになって、ぎゅーっと腕に力を込めていた。すると初音は顔を赤くしながら、体を小さくする。
それを見て余計に心臓の辺りが痒いような、縮むような微妙な感覚になってしまう。


「やっぱり可愛い」

「も、やめてって!」


初音を包む度に、悪いことをしているんだと気付いていた。
自分の中途半端な気持ちを理解していながら、余計深みに嵌るような行動をわざとして、自制の効かない馬鹿だ。


でも女同士というだけで得だと思う。こうやって恋人でもないのに、友達を抱きしめても一応許されるから。
これが男と女なら友達同士だとしても、抱き合ってたら不自然だ。

もし……初音のことが好きな男の子が居て、私のベタベタっぷりを眺めていたら羨ましがるかむしろ嫉妬するに違いない。


「ねぇ、ちゅーしたら駄目?」

「アホか、いい加減にしい」


「ちゅー…」

「そういうことは彼氏として」


「うー」


初音の肩に顎を乗せて、頬を膨らませた。すると、そんな顔したっていかんからなと釘を刺された。


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