エッセイ *恋愛
鉛筆とあの子
[16/24]


*告白


7月19日にあの子の家に泊まった。

前から決めていた。告白すると。



私は本当に馬鹿だなと思った。頭の中では嫌と言うほど繰り返し呟いてた「好き」という言葉なのに、本人に伝えようとすると喉の奥に引っ掛かってしまって出てこない。たった2文字の単語なのに言えなくて歯がゆい。



「好き」とは一言も言えなかったけれど私は胸の中に溜込んでいたものを本人に伝えることができた。あの子の事もこれを最後に忘れたいと思っている。


因みに泊まったあの日、私があの子に触れたのは髪の毛だけ。
手を繋いだり、後ろからしっかりと抱き締めたかったのに…何一つ出来ず別れた。


でも、告白だけはした。それが出来ただけで私は満足で、思い出す度何とも言えない達成感を味わいながら赤面した。





あの日。布団に横になってお菓子を食べながら私と初音はぐだくだと話してた。


カラムーチョはジャガイモで出来てるとか、眠いだの眠くないだの…。私はその下らない話しが途切れるのを待ってた。途切れたら、ある話しを始めようと思って。


話しが途切れた。沈黙…。

私は話し出せない。
ん゛ーんー…と唸っただけで何も言えない。でも、暫くしてやっと話しを切り出せた。
「私な、今日変な話ししにきたんや」と。


でも、その後が続かなくてやっぱえぇわ。恥ずかしいし、どうでもいいことやから。って布団に顔をうずめた。


でも、また少ししてから話が途切れたときにこう切り出した。


「バイセクシュアルって知ってる? 略してバイって言うんやけど」

「知らん、教えてよ」

「…うーん、両性愛者って意味。男も女も愛せるってこと。」

「あー、うちの友達の友達多分それや。なんか困るって言うてた。」

「前好きな子おるって言うたやん。その子女の子なんや。」

「……」

「私、その子のことが凄い好きなんや……今までの中で一番好きやと思う」

「いつから好きなん?」

「んー今で8ヶ月目…。1年とか2年ではないけど、これでも私ん中では一番長いよ」

「でも、もう忘れるんや。最近また私がその子が好きなことが彼氏にバレてしもうたから」

「もしも初音が付き合っとるとして、私の立場やったらどうする?」


みたいな感じで相談する様に私は初音に話してった。初音は焦らずに相槌を打ちながら聞いてくれた。一通り話し終わって私は大分すっきりした。


で、初音はその人が誰か別に聞かないから、誰か気にならんの?…って聞いてみた。そしたら、知らん人のこと聞いてもあれやろって。んで少しあーだこーだ言ってまた静かになった。そしてまた話し始めた。


「私が好きな人やっぱ言うわ。多分今くらいしか言う気になれんから。」って。


「その人同じクラスなんや…3年間。んで、卒業したら離れる……………………。実は、ぶっちゃけて言うとその人は…………………………………」


かなりの沈黙の後、お前や…っていうオチと続けた。
そんで直ぐに「私、もう忘れるから…やからいつもと同じでいて」と。

あの子は上を向いたまま「スッキリしたかい?」と言った。「うんスッキリした。でもちょっと後悔」って私は笑った。

気持ちを一応やっと伝えられて、ほっとした。


そんで、少し疑問に思った事を聞いてみた。
「その好きな人が自分かなって思わんかったん?」と。


「ちょっと思ったけど、そんな自分に自惚れ過ぎやなと思って」

「じゃあお休み。寝れそう?」

「なんか、目覚めた」

「うわっウケるー! あ、寝ている間私に襲われんよう気をつけなよ」

「広ちゃんなら大丈夫やろ 笑」


とぽつぽつ会話してからあの子は寝た。こっちを向いてたけど、布団で顔を隠してた。


ちょっと襲ってやろうと思ったけどやっぱり勇気もなくてその内私も寝た。




そして朝がきて6時くらいに目が覚めて、そしたらあの子の携帯のアラームが鳴っていきなり初音は起きてアラームを止めに行って、また直ぐに寝た。


隣には綺麗な黒髪が有った。そっと触ってみた。でもそんな事したら直ぐにあの子はもぞもぞして起きそうになったから止めた。


うん、いい思い出だ……。


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