エッセイ *恋愛
貴女と二人で[長編]
[6/11]


-take2-

******

こっちにきて
私に触れて キスをして
もっとめちゃくちゃに
したっていいんだよ?
いつか誰もが死んじゃって
忘れられてくなら
今確かなものだけを信じるわ

******


数日後、サチさんからLINEが来た。


(さち)
ひかるん、来週土曜日の猫
ヤンキーさまの主催ライブ
行く?
私行こかなーって思って

  行きますよー♪♪ なかなか
  見れてなくて初猫ヤンキー
  なので、楽しみです*´ω`)ノ

今から前売りルカさんに
取り置き頼もうと思ってー。
もう言った?言うとこか?


あ、口約束だから予約まだちゃんとはしてなかったと思い出す。


  ありがとうございます、行くとは
  は言ったものの前売り取置きまで
  は言ってないので、私の分もよろ
  しくお願いしますm(_ _)m


LINEをやり取りしながら、そういえばメンバーの人と二人でプライベートで会うのって、考えてみれば初めてだ。
いつもは5人とか、6人で話してたから大丈夫だったけど気まずくなったりしないかなぁ。自分自身に人見知りもあるし、ちょっと心配だなと思考が巡ってくる。

まぁ、サチさんなら大丈夫だとは思うんだけど。


(さち)
おけおけー。ひかるさんで、
とってもらうので、受付で
言ったらいいと思うよー。
また、返事来たられんらく
しますー。

  ありがとうございます*´ω`)ノ
  よろしくお願いします!


少し久しぶりに観に行くライブに、今からワクワクしている私が居た。

――――


これを期に、メンバーの人ともっと仲良くなりたいなぁ。
単純にそう思って、私はサチさんに漫画を貸してみる事にした。

ノンケの友達には、なかなか貸しても良さを分かって貰えないだろうなと諦めて、おススメしたくても出来なかった大好きな百合漫画をチョイスする。

後、私が好きなゲイのブロガーさんの描いた漫画をセットにして。


ライブ前日から袋に入れて、人に百合漫画を貸そうとしているのが慣れなくてちょっとドキドキしながら準備した。


そしてライブ当日、私は昼過ぎまで寝過ごしてしまった。
ああ、時間を無駄にしてしまったと後悔しつつ溜まっていた洗濯や掃除をノロノロと片付け始める。

あっという間に夕方になり、18:30 Open/19:00 Startのイベントであったが到底始めからは見れない時間帯になっていた。

まぁいっか、ルカさん主催で最後だから。出演アーティストも多かったから、長丁場のライブになると思うし遅れて行くくらいが丁度いいかもしれない。

外食はお金掛かるから、簡単に家で作って食べてからライブ行こうと思って私は野菜炒めを作り始めた。


そうこうしていたら、会場に着きそうな時間は20:30くらいになってしまって、電車に乗る時に携帯を見るとサチさんから連絡がきていた。


(さち)
なかにいてるよー

  遅くなりましたが今梅田です!
  会場盛り上がってますか?
  また後で〜!


猫ヤンキーの出番か終わってしまっていないか、内心ハラハラしながら私は出来るだけ早足で会場へと向かった。
けど着いてみれば、猫ヤンキーの出番はまだ先みたいで安心した。


会場を見渡すと、教室をタテに半分にしたくらいの大きさの箱(ライブハウス)にいっぱいお客さんが入っててこんな規模でイベントが出来てしまうルカさんのバンドって凄いんだなぁと驚かされる。
曲の途中だから、後ろの方で見ていようとBARカウンターをうろうろしていると隅っこにサチさんが居た。


「ひかるん、遅いよー!」

「ごめんなさいっ」

「まぁ、いいんだけどさぁ。ひかるんの事だから、7時丁度くらいに来てるのかと思ってたよ」

「今日のイベント出る人多そうでしょ? 私、猫ヤンキーだけ見れたらいいかなぁって思って。後何組くらいで猫ヤンキーですかね?」

「んー、後3〜4組じゃないかなぁ」

「そうですか、充分間に合って良かったぁ」

「でもルカさんひかるんがなかなか来ないから、会場勘違いして道迷ってるんじゃないかって心配してたんだからねっ」

「ごめんなさい、ルカさん心配させてしまいましたね」

「いいえー。後でルカさんに挨拶しに行こう」

「はい! そういえば、サチさんはドリンクもう頼みました?」

「うん、もう暫くしたらおかわり頼もうかなぁ」

「私もドリンク引き換えしてきますね」

「行ってらっしゃーい」


振り向いてすぐ側のバーカウンターに行って、ドリンクメニューを眺めていると本日限定の梅酒が目に入った。甘くて美味しそうだったので試しにそれを頼んでみる。
ロックにしたので、梅酒を受取る時に氷が揺れている。氷同士やガラスが涼しげな音を立てていそうだったけど、バンドの音に掻き消されて聞こえはしない。


「ただいまです」

「お帰り〜」

「前行かないんですか?」

「今はいいかなぁ、次の次に女性ボーカルの天声ってバンドが出るからそれは近くで見てみたいんだけど」

「へぇー」


私は貰ってきた梅酒をちょこちょこ呑みながら、サチさんの話に相槌を打つ。ほのかにしその香りがして、コクがある私好みの甘い梅酒だった。

やっぱりライブと言えばお酒だ。とある好きなバンドを観に行った時、ライブ中にギターボーカルがビールを一気してから「音楽と、お酒は合うのよ。」って笑っていたのを思い出す。


「何頼んだの?」

「今日オススメの梅酒ですよ」

「ああ。あったねぇ、あれ美味しそうだった」

「美味しいですよ、甘くてちょっとしその味がするんです」

「ちょっと味見してもいい?」

「いいですよ、どうぞ〜」


グラスを手渡すと、サチさんは少しだけ梅酒を飲んだ。


「これ、美味しいね!」

「でしょー!」


笑顔で味見を終えたグラスを、私にまた手渡す。ああ、この人今楽しそうだな。笑顔を見た時にそんな風に感じた。


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