エッセイ *恋愛
貴女と二人で[長編]
[7/11]


バンドが入れ替わる時に流れる、少し大きめのBGM。

ここの箱は、まだ私も知っているようなメジャー所のバンドの曲を流している。


「あ、次は天声さんだよね。前行ってくる!」

「そうですね、行きましょうか」


人混みを縫ってステージの右手、やや前でスタンバイする。横を見ると、主催者「猫ヤンキー」の物販があった。猫ヤンキーのメンバーらしき人は数人居るが、ルカさんの姿は見当たらない。

あ、猫ヤンキーCDも出してるんだ、と目が止まる。オリジナルCDを作るくらいルカさんはガチでバンドしてる人なんだなぁと改めて驚いた。
こんな凄い人がぺーぺーなギタリスト(私)が居るガールズバンドで、一緒にバンドしている事が恐れ多くて、いいんだろうかと思ってしまう。


「ルカさんのバンド、CDも出してて凄いよね」

物販に目をやっていた私の視線に気づいて、サチさんが声を掛ける。


「ええ、ルカさん凄すぎます…!」

「猫ヤンキーの曲って、ほとんどルカさんが作詞してるんだって」

「まじですか、ルカさん凄い!!」


ルカさんドラムだけじゃなくて、作詞もするんだぁ。ボーカルが作詞するバンドは多いけど、メイン作詞がドラムでしかもうちのルカさんだなんて!!


「あっ、名刺とかもあるんですね」

「みたいだねぇ〜」


よく見ると名刺くらいの大きさの、可愛いフリーペーパーだった。「猫ヤンキー」と、ややカンフーをイメージしたような勢いのある書体でバンド名が書いてある。そこに猫の足跡のマークが添えられていて、そのギャップが愛らしい。

名刺サイズのそれを手に取り裏を見てみると、よくあるFace bookやTwitterアカウント、HPの紹介が載っている。そういえば、猫ヤンキーのFace bookを前もって覗いた時に、トップページのいいね!の数の多さに驚いた覚えがある。

ちょっとした、インディーズアーティストと同じくらいの規模で応援されているルカさんのバンドってどんなバンドなんだろうと想像ばかりが膨らんだような。


「私前にルカさんのライブ遊びに行った時にこのCD買ったよ」


物販のビビットピンクの、どう見ても目立つCDを手にとってサチさんが笑った。


「私も後でCD買いますっ」

「うん。ルカさんのバンド前初めて観に行ったけどかっこよかったなぁ」

「そうなんですね、楽しみだなぁ〜」


ルカさんのバンドまではまだ先だけど、気持ちばかり高鳴っていく。猫ヤンキーってどんなライブするんだろう。ルカさんはやっぱりカッコイイに演奏に違いないんだろうなと、想像が膨らんでいく。


またライブハウス内のBGMが切り替わって、女性ボーカルのJ-POPが流れ始めた。隣のサチさんは曲に合わせて歌っている、しかもお酒が入ってるせいか気持ち良さそうに踊っている。ライブの合間の空気も一緒に楽しんでいる感じだ。

こんな風にライブを楽しむ人なんだなと、私は静かにこの人を観察していた。


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