エッセイ *恋愛
だって、家族ですから
[3/10]

『ぬるっと暑いこんな日は』


ぬるぬると這いつくばりたい。
暑くてだるくて、帰ってきたばかりの私の部屋は最悪な感じで暑い。

全ての気力を奪っていくこの暑さでも、すぐにはどうすることもできないけど。とりあえずクーラーのスイッチは真っ先に入れた。


その後、CDも掛けとこうかなと思って「熱帯夜」というタイトルのシングルをコンポに突っ込む。あまりのダルさに、受け皿からはディスクはちょっとズレていたけど吸い込まれる時上手に型にハマっていった。


流れ出す曲は甘ったるい歌詞に、甘ったるくてゆったりしたギターリフ。



----------

じっとりとぬるい湿った空気
風が吹いても変わらぬ私の体温
いつだって君に触りたい
こんな暑い夜はとくに

会いたい いますぐ。そう言った私を
わがままばかり、と叱って今すぐここに来て

----------



クーラーがきくのが待ちきれず私は、上に着ていたTシャツを脱いで上半身ブラジャーだけになっていた。

それもなんだか、窮屈になって脱ぎ払って半裸になる。




曲を聴きながら、そうだな。私も、あの人もきっとそうだなと、頷く。



「いつだって君に触りたい
 こんな暑い夜はとくに」





好きな人にはそりゃ触りたいでしょ。
触るだけじゃなくて、それ以上もしたいしするでしょ。



「会いたい」


この曲を聴く前も、あの人の事を考えて思っていたことだけど。
当たり前みたいに、この曲を聴いてもまた「会いたい」と考えた。


そう、何度だって「会いたい」とは考える。
けど、「会いたい、いますぐ。」「今すぐここに来て。」なんて言わないけど。
色々と弁えてますよ、私はもういい年の大人だし。


私の場合だけど「会いたいな」、そんな事を濃く考えてる時は相手も同じように感じているのか電話が鳴る。


それで大したこともない話を一通りした後、最後に「会いたいな」「触りたいな」と言い合って電話を終えるのが大体の決まりなのだ。
色々話はするけど最終的にはこの気持ちを言葉で伝える為に、電話をしてくるような気がする。

そうして、会いたいけど会えない気持ちを二人で埋めている。





「会いたいな」



今日もまた、電話が掛かってくるかもしれない。きき始めたクーラーの風に当たりつつ、そんなことを予想する。

風は気持ちよくても、あまりにもベタつく自分の肌にやっぱり最悪に気持ち悪い。嫌気がさしてその場でズボンも脱いだ。
そのまま私はシャワーを浴びに向かった。


栞を挟む

* 前へ | 次へ #
3/10ページ

LIST/MAIN/HOME
© 2019 社会で呼吸