創作小説 *恋愛
歌詞を小説に
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『左耳』



多分どうせ。まぁ、いいや。
余計なことばっか考えてる。


ずっとなんてないのかもしれない。
今くらいしか確かなものなんてないのかもしれない。



隣で先に寝た恋人を横目にそんなことを考えてる。
くたびれたダサいTシャツを着て、口をぽっかりと開けて寝息を立てていた。いつものこの感じに安心していた。

でも、やっぱり。
キミが居なくなったらどうしよう。
私はどうなるのかな。
とか。

考えても仕方ないのに。



ふと、彼の左耳を見ていて気がついたことがある。
穴空いてたんだ、知らなかったと。
耳たぶに1つだけあった小さなピアスホール。

こういうピアスホールって、彼女とかに開けて貰ったりすることも多いから、この人もそうなのかもしれない。
それとか、恋人同士でお揃いのピアスをつけ合ったりとか。彼女から貰ったピアスを嬉しがってつけたりだとか。今までそんなことあったのかもしれない。

穴を覗き込むだけでいらない連想が止まらなくなってくる。


そもそも、いつか私も。
この元カノの中のうちの1人にいずれなってしまうんじゃないかと、また不安がつのり苛々とした。




『――こんな穴、
 私が塞いで埋めてやろうか。』

苛々とした気持ちからそんな衝動に駆られて、急いで起き出して寝る前に外していた自分のピアスを取った。
きちんとピアスの細い棒が、ピアスの小さい穴に入るようにグリグリとねじ込むように刺した。


ピアスを挿し終わった時には、流石に彼が微妙に起き出した。


「…ん〜?」


違和感を感じた耳たぶに手をやり、私が刺したピアスに気がついて触って確かめる。
それで寝呆けた顔して、これくれるの?なんて聞いてくる。


「別にそれもう、いらないし」

「ああそう」


まだまだ眠そうな彼は、目を閉じて簡単な返事を返してごろんと寝がえりをうって背を向けた。






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「ずっと傍に居たい」
「あなたが好きよ」

言葉は遠回りして
迷子になってバイト遅刻

君が居なくなったら
アタシはどうなるのかな


左耳知らなかった穴
覗いたら昔の女が居た
アタシは急いでピアスを刺す

それで起きて
寝呆けた顔して
これくれるのなんて聞いてくる
別にそれもう要らないし



左耳/クリープハイプ

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