黎明の訪れ
古代語を習得して宝具を自在に操れるようになって、また称号を得た。
――【武芸の達人】
あらゆる武器で魔物を殺し、あらゆる武器を
自分に課した問題を少しずつ片付けて、ようやくフィー姉さんを超える魔法薬を開発した。
魔法薬の名称は『幸運薬』。
簡単に言えば感覚を
感覚が研ぎ澄まされると直感が発達し、何を言えば相手から望む言葉を引き出せるか、何をすれば困難な状況や方法の突破口が見つかるか、その全てを一時的に第六感で感じ取れる。
試しに使ってみて、今まで成功しなかったユニークスキルを使っての魔法薬が作れた。
最高級と呼ばれ、最高難とも言われる究極の万能薬『エリクシル』。
体力を回復させる最上級の魔法薬『レストアポーション』。
魔力を回復させる最上級の魔法薬『レストアマナポーション』。
エリクシルの材料は、賢者の石から生成されるエリクサーという水と、綺麗なオレンジ色の甘い木の実・カリュオンの実など。
レストアポーションの材料は、薬草の他に、地球にあるクコの実に似た形の赤い木の実・ヌクスの実など。
レストアマナポーションの材料は、薬草の他に、木苺に似た形の青い木の実・ランポーネの実など。
この三種類の木の実は栽培方法がとても難しく、魔力地帯を呼ばれる魔力が多く集まる場所でなければ生殖しない。そのため、魔力を宿す樹海が密集している深淵の森では育てやすい。
魔力が立ち
まぁ、私は最初からギフト《宝物庫》に入っていたけれど。
この三種類の魔法薬の材料であるエキスは慣れていれば簡単に準備できるが、煮詰める時間も的確でなければ成功しないし、放置する時間帯や期間を間違えれば失敗する。特に放置する時間帯や期間が長い。
かなり根気がいる魔法薬だが、ユニークスキル《時の奏者》を使えば簡単にできる――と高を
でも、幸運薬を使えば《時の奏者》の感覚やタイミングが掴めて、レストアポーションとレストアマナポーションはその日に、エリクシルは今まで以上に簡単に作れるようになった。
ユニークスキル《時の奏者》は、時間を操る能力。過去に戻れ、特定の物質の時間を進めたり戻したりする。未来は、ランダムに選ばれた未知数の分岐点に進むことになる。
完全に操れるようになったのも幸運薬のおかげ。
理論を纏めたレポートをフィー姉さんに見せると、彼女は心から褒めてくれた。
それが、拾われて二年目の春のこと。
本日、私は初めて都会に出た。
見渡す限り、人、人、人。街の中だから当然だけど、今生初の外界に不安を抱えてしまう。
「シーナ。ここは帝都で安全性が高いが、
「……了解」
フィー姉さんに注意されながら、街中をぐるりと見渡す。
世界最大の大陸、東の大陸とも呼ばれるアマデウス大陸。西の大陸と呼ばれるオプディムス大陸がある西側に、世界最高峰の大国――バシレイアー帝国がある。
他種族国家で、同盟国から物資を
アマデウス大陸の四大同盟国の筆頭として有名なバシレイアー帝国に、神界で転生した私は転移されたのだ。
今日はそのバシレイアー帝国の帝都バシレウスに仕事で訪れていた。
帝都は有名な貴族や商人が住む場所。中心地から『貴族街』に続き『商業街』、下町、『平民街』。その平民街の片隅に『
帝都に入ると、最初は
法界魔術協会は、
犯罪を防止するために、
これを持っている限り犯罪履歴が判り、罪歴項目から罪状がなくならない限り街から出られない仕組みになっている。また、持っていないと街の外へ行けないし、違う街へ入ることもできない。
私はフィー姉さんという保護者がいるから入ることができた。そして、今しがた説明を受けて発行されたところだ。
名前:シーナ
種族:人族
職種:【聖女】【魔術戦士】【魔女見習い】
職業:□□□
出身:不明
罪科:□□□
称号:【神々の愛娘】【最上の聖女】
種族は【古代族】で【魔法戦士】だけど、それは法の精霊が
生まれ育ったところは神界だから出身というものはない。かといって深淵の森は可笑しいから、捨てられたところを拾われたという設定に落ち着いた。
ちなみにフィー姉さんの職種は『魔女』で、称号は『創生の魔女』と『神の愛娘』。ここまではっきり明記されると
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