01-02
食料:ユスラ
詳細:春に花を咲かせて夏の間に実る木の実。栽培方法が極めて難しい植物なので、高級果物と認定されている。
まるでサクランボのようだ。百個ある林檎と違って三百個もあるから、一個取り出してみる。
形と色はサクランボと同じで、アメリカンチェリーより一回り大きい。食べてみると、食感はアメリカンチェリーと同じ。
サクランボは好物の一つだから、この世界にもあるのは嬉しい。でも、高級果物……大事に食べないとなぁ。いや、三百個もあるなら
続いて薬と素材。
薬品:治百合の
詳細:満月の夜に咲き誇る黄金の百合から採れる蜜。程良く滑らかで甘い上に、ひと
素材:カリュオン
詳細:瑞々しく、とても甘いオレンジ色の木の実。体力+魔力回復などの効果を得る万能薬『エリクシル』の材料。
素材:ヌクス
詳細:仄かな酸味がある爽やかな味が特徴的な赤い木の実。最上級のポーション『レストアポーション』の材料。
素材:ランポーネ
詳細:
治百合の蜜は、大瓶が十個、小瓶が四十個の計五十個。素材は各百個。貴重な材料を大量に贈ってくれるなんて……ディオン様とエリーゼ様の
「えーっと、武器と装備は……」
武器:アダマンタイトナイフ
詳細:最も硬い
装具:ホーヴヴァルプニルの靴
詳細:ハムスケルピルとガルズローヴァの間に生まれた馬、ホーヴヴァルプニル。空も海も自在に駆けることができるホーヴヴァルプニルの革を使って作り上げた靴。使用者は水面を自在に渡れ、空を蹴って
装具:
詳細:使用者の魔力で光の盾を作り出し、敵の攻撃を一度だけ防ぐ、または魔法を跳ね返す。通常は使用者の邪魔にならないようにオートで動くが、意識すれば操作することも可能。また、発動後何もしないまま魔力が切れた場合、自動的に消滅する。
装具:ゲリ・フレキの腕輪
詳細:使用者が的にダメージを与えた場合、ダメージ量に比例して生命力と魔力を吸収するため、体力と魔力が共に回復しやすくなる。
装具:錬金王の耳飾り
詳細:賢者の石をミスリル鉱石に練り込んだイヤーカフ。使用者は錬金術や薬類の調合が高確率で成功する。また、装備していると魔眼による特殊な攻撃も効かない。
武器は一個、装具は四個。装具の内三個は装飾品のようだ。
高性能の装備に、一瞬だけ固まってしまったのは仕方ない。
また
疑問を感じながら、一番下にあった何の効果もないズボンと一緒に全ての装備を取り出して、とりあえず身につけた。
白いワンピースに似合う薄紺色のズボンを履いて、銀の金具がついた革ベルトで固定。
靴下もあると嬉しかったけど、
ホーヴヴァルプニルの靴は栗色のベルトブーツだが、素足でも履き心地がいいことから靴擦れもしないだろう。
鏡魔の腕輪は銀製のような輝きがあり、ゲリ・フレキの腕輪は赤と青が入り
私は右手に鏡魔の腕輪、左手にゲリ・フレキの腕輪を着けた。
錬金王の耳飾りは金色の宝石が裏表に嵌め込まれた、青みがかかった銀のイヤーカフ。ピアスが苦手である私にはありがたいデザインだ。リバーシブルのようで、右耳に装着。女性が左に片耳ピアスをしたら同性愛になるからね。
最後にアダマンタイトナイフ。アダマンタイトは金剛鉄の意味があり、金剛とはダイヤモンドのことを指す。ダイヤモンドのように透明度のある両刃のナイフは美しく、光加減で輝いて見える。
試しに振るってみると手に良く馴染み、しっくりきた。動きながらナイフを逆手に持ったり元の持ち方に戻したりしてみて、これが《万能戦闘》の効果なのだと悟る。
「流石はユニークスキル……と言えばいいかな」
ぽつりと呟き、ナイフを特別性の銀の
「さて……と。そろそろ行くか」
ずっとこのまま建物の中にいても仕方ない。外もまだ明るいから、できることなら状況把握しなければ。
少しの不安を抱えながら、私は一つだけある出入口を潜った。
階段を下りると、まるで迷路と言い表せる通路に入った。
途中まで順調だったけど、前、右、左の道がある十字路に出た。
どちらに行けばいいのか判らなくて、地図が欲しい……と思った時。
――スキル《
また簡単にスキルを手に入れてしまった。
でも、地図とはありがたい。早速スキルを展開すると、長方形のスクリーンに通路らしき道が表示された。
《地図》の行き止まりに金色の点がある。気になって袋小路へ行けば、赤い箱があった。
罠……ではないよね? 《地図》を見ても危険なものは表示されていないし。
恐る恐る近づいて箱を開けようと
魔法で壊すと中身まで壊れてしまう。なら……。
「えっと……〈
想像を膨らませて唱えてみると、カチリと音が聞こえた。
え、開いた? こんなんでいいの?
戸惑いながら
五百円玉みたいな金貨や百円玉みたいな金貨、それらと同じ二種類の銀貨。
お金、かな? でも、この世界の通貨の使い方なんて知らない。
念のために《知識獲得》を使ってみる。すると、お金の知識を引き出せた。
この世界の通貨は硬貨。小銅貨十枚で銅貨、銅貨十枚で小銀貨、小銀貨十枚で銀貨、銀貨十枚で小金貨、小金貨十枚で金貨、金貨百枚で王金貨となっている。
例えば小銅貨一枚なら花を一輪、銅貨一枚なら屋台の飲み物やパン一個、小銀貨一枚なら安物の服が一着や文房具セットが一式、銀貨一枚なら宿に一泊、小金貨一枚なら宝石や装飾品が質によっていくつか、金貨一枚なら
おそらくだけど、小銅貨は十円、銅貨は百円、小銀貨は千円、銀貨は一万円、小金貨は十万円、金貨は百万円、王金貨は一億円。
宝箱にある
……とんでもないな。
とりあえず《宝物庫》に収納して、ぞれぞれの枚数を確認すると銅貨や小銅貨も少しはあった。
それにしても金貨と銀貨の数が半端ない。全部合わせると王金貨十枚分以上もある。一気に大金持ちになっちゃったよ……。
気を取り直して、他の宝箱も探してみる。大きさは違ったけれど金銭が入っていたり、武器が入っていたり。
武器はしっかりした両刃の剣、短剣、槍、弓、ロッド、大鎌、
弓が出てきた時、どうして矢がないの?と思った時、またスキルを手に入れた。
――スキル《
ゲームで良くあるスキルだ。
これのおかげで《宝物庫》に入れなくても詳細を知ることができる。
詳細:世界樹の枝を使用して作られた弓。実物の矢を受け付けない代わりに魔力を込めて
魔武器:
詳細:光属性を持つ者のみ重量軽減の能力を発動する純白の大鎌。魔力を込めることで自在に動く鎖を作り出し、魔力量によって大きさも異なる。追尾性能を持ち、意識すれば好きなように動かすことも可能。
様々な武器の中で魔法の武器――魔武器は、純白の弓、漆黒の模様を施した純白の大鎌の二つ。たった二つだけど、希少価値の高い魔武器を手に入れられるなんて奇跡だ。
途中で空腹になって林檎を食べ、宝箱の探索を再開して……数時間で
お金も武器も充分なほど手に入れられて満足だ。
――称号【
新しい称号も得たことだし、そろそろ外へ出ようかな?
「……ん?」
ふと、現在地から少し離れた所に黒い点が表示されていた。気になってそちらへ行けば、下へ行く階段があった。
これは、もしかして……。
「地下があるの?」
表示されている《地図》の端には「F1」と表示されているから、きっと地下に通じている。
行ってみるのもいいけど、建物の中を数時間も歩き回ったから疲れた。
外は、おそらく夜だろう。途中で眠気に襲われても大変だから、今日はもう休もう。
念のために
「地下……。ダンジョンみたいな展開になるなら、戦闘もあるってことだよね……?」
魔物と戦う。つまり、生き物を殺すことを意味する。
虫はあるけど、人間や
でも、この世界にいる限り、生きるために他者を殺すことも、きっとある。
……そう。今は前世と違う。これからは後悔しない人生を
改めて生きる決意を固め、静かに意識を闇へ沈めた。
転生初日は、意外にも淡々としていたのだった。
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