06-03
オークに襲われた人達と別れてもう一度外に行き、オーク、ついでにアシエリオンを解体する。途中でお昼休憩を挟みつつ十三時過ぎで終わらせることができて、冒険者ギルドに戻った。
冒険者ギルドでは朝とは比べ物にならないくらいの人が集まっていたが、気にせずハイジの所へ行く。
「あっ、シーナさん! ご無事で……!」
安堵から息を吐くハイジに苦笑してしまう。
「あれくらいどうってことないから。はい、討伐証明部位の換金と素材の買取りをお願い」
《宝物庫》から十個の袋を取り出してカウンターに置く
討伐証明部位である右耳。魔石。武器や防具に使える牙や皮膚、骨、弓の弦として使えるオークジェネラルの
魔石に関しては
「……どこから出したんですか?」
「あー。アイテムボックス」
ここに来る前にカモフラージュとして右手の中指に本物のアイテムボックスをつけた。
外観は月桂樹の模様を彫り込んだ、少し幅がある指輪。魔力を込めやすい銀製。フィー姉さんが作った物より、こっちはリスト化しているため入れている物を確認できる優れもの。魔力を認証しているため、私以外に使えないようにしている。
まあ、《宝物庫》よりは劣るけどね。あまり使わないから意味ないし。
小さな声で呟くように答えると、ハイジは目を丸くした。
「えっ、あの伝説級の魔道具……!?」
「まぁ、それは置いといて。査定よろしく」
「あっ、は、はい」
ぎこちなく頷いて、袋から討伐証明部位を出した。その数に、ハイジは目を見開く。
「オークジェネラルもいたんですか!?」
「そんなに驚くこと?」
「だ、だって普通のオークはDランクモンスターですが……上位種でCランクモンスターですよ? しかもオークメイジとオークアーチャーもいたなんて……」
確かに、全体的に見て一人で討伐できる量ではない。Cランクパーティーでも苦戦どころではないだろう。けど、私は魔術やスキル、武器に恵まれている。そして、経験を積む場所にも。
沢山の経験を得たからこそ、こうして結果を残すことができる。これもギフト《強運》のおかげかもしれない。
「それで、査定はまだ?」
「あっ、すみません。ええと……。ウィノナさん、ちょっと手伝って」
ハイジが呼びかけると、白い
十七歳ぐらいのハイジとは別に、ウィノナという女性は二十歳ぐらいでグラマーな体型をしている。白いふわふわの髪と薄ピンク色の瞳で、綺麗と言うより可愛い美女。しかも兎耳だから
「わっ、凄い量。これを
「そうなんです。オークが十四匹、オークアーチャーが四匹、オークメイジが四匹、オークジェネラルが一匹。剥ぎ取りの状態も良さそうなんですけど……」
「あら、まあ……。だったら手伝うわ」
口元に手を当てたウィノナが驚嘆の声を漏らし、両手に手袋を着けてハイジと一緒に査定した。
私はというと、不意に聞こえた「噂」という言葉に引っかかる。
「噂って?」
「Bランク冒険者で有力なクラウド君をあっさり倒して、ギルドマスター直々のお言葉でCランク冒険者になった期待の新人さんっていう噂よ」
ウィノナが教えながら手元を動かす。受付嬢としても査定の技術も達人って感じだ。
というか、クラウドをくん≠ナ呼んでいるなんて、同い年か年上なのかな?
そんな他愛ないことを気にしながら見ていると、スキル《鑑定》が発動した。
またか。これ、たまに勝手に出てくるから困る。プライバシーは守らないといけないのに。なのに、つい見てしまう私もどうしようもない。
名前:ウィノナ
年齢:21
種族:獣人族【兎人族】
職種:【受付嬢】
属性:【地】
体力:C
魔力:D
攻撃:D
防御:D
幸運:C
状態:□□□
罪科:□□□
恩恵:□□□
称号:□□□
ギフト:□□□
スキル:《料理:C》《裁縫:C》《暗記:B》《計算:A》《暗算:B》《演算:A》《査定:A》
獣人族は魔力をほとんど保有していない。兎人族ということもあって攻撃力も防御力も底辺。けど、受付嬢としてのスキルは熟練と達人の領域だ。
私より三歳も年上だったのか。ということはクラウドの一歳上。それでも若く見えるのは童顔だからかな?
「シーナさんって凄い。全部いい状態で剥ぎ取れているわ」
スキル《鑑定》をやめてウィノナを観察していると、彼女は感嘆の吐息を漏らす。
「え、本当?」
「ええ。討伐証明部位と素材を合わせて、小金貨一枚と銀貨七枚、小銀貨二枚。報酬も合わせると小金貨四枚と小銀貨二枚。それからシーナさんが来る前に、シーナさんがオークから助けた人が来てね。護衛をして送ってくれた上に税金を肩代わりしてくれたって言って、出し合った小銀貨四枚を預けてきたのよ。それも加えなきゃ」
つまり、日本円に換算したら四十万六千円。オークの討伐でそこまで
周囲で聞き耳を立てている人達もざわついているし、オークの討伐でこれは普通じゃないのかもしれない。
苦笑してしまう私に、ハイジがお金を入れた小包を渡した。
「これがその報酬です」
「ありがとう。……ところで、アシエリオンの素材って買い取ってもらえる?」
そう言って、カウンターにアシエリオンの毛皮と骨と腱をカウンターに出す。
これが一番の問題。ずっと持っていると忘れてしまうから、なるべく早く売却したい。
期待を込めて訊ねるが……。
「……本物?」
「本物。鑑定士に頼めば判るよ」
「…………ごめんなさい。買取りは難しいわ。伝説級の魔物なんて、値段がつけられないもの」
「え。でも国に
「冒険者ギルドでも、そこまでお金を出せないの」
……ショック。貴族なら買ってくれるかもしれないけど、関わる気なんてないから無理だ。
溜息を吐いてアシエリオンの素材を《宝物庫》にしまい込んだ。
「無理言ってごめん」
「いえ……お力になれずすみません」
「いいよ。じゃあ、今日はこれで」
ハイジとウィノナに挨拶して、ギルドから出た。
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