門下生の悪意
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東藤と
そこは都会の
楽しかった時間が終わってしまい、胃が痛くなりそうな緊張感が襲いかかる。
「……大丈夫かい?」
「……ちょっと、ね。でもまぁ、女は度胸って言うし」
眉を寄せたまま力無く笑う詩那に、東藤は心配そうな顔をする。
彼の表情で、自分が情けない顔をしているのだと自覚した詩那は
「よしっ……行こう」
詩那は両手で痛いほど頬を叩いて喝を入れて、小さく呟いて駐車場から離れた。
少し歩けば森林地帯の一角を支配している竹林に近づき、その間にある
石畳で整えられた地面を焦げ茶色のローファーを履いている足で静かに歩き進めれば、竹製の
濃紺の
(まったく。いつ来ても息が詰まる……)
実家だと言うのに重苦しく感じる空気に小さく深呼吸をして、玄関から入った。
靴を脱いで客用のスリッパを履き、東藤に続いて古くもしっかりとした通路を進む。
途中ですれ違う、白い着物に
その視線には、悪意が宿っていた。
「……何であんなのがここに来るのよ」
「仕方ないだろ。あれでも一応本家の人間だ」
「だからって、あれは出来損ないだぜ? 本家の
声を潜めようとしない三人は、詩那の実家である本家の門下生。
態とらしい悪態が聞こえて、詩那は無意識に握った
気付いた東藤は詩那の心情を察して、気遣わしげに声をかける。
「言い返さなくていいのかい?」
「いいの、事実なんだから。それに……あの子達の場合、態度を
僅かな息苦しさを隠して、なんともなさそうに言う詩那に、東藤は首を傾げる。
「身を滅ぼすって?」
「貴方達は妖怪退治が
それにしても詩那は強い、と東藤は胸中で
向けられる悪意に押し潰されず、ありのままを受け止めて受け流そうとし、事実を指摘する冷静さを有する。
並大抵では得られない精神力に感服すると同時に、無理しないでほしいと東藤は願う。
強さは時に
今まで気にかけていた分、心配する思いが
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