出会い






 勇者に選ばれた実感が湧かないまま国王と顔合わせして、旅立たされた。(省略)

 雑なのは許して欲しい。王宮は思っていたよりドロドロした場所で、心が磨り減ったから。
 旅費は貰えたが、ほとんどが金貨。一枚一枚が大金すぎて迂闊うかつに使えない。
 悩みながらやりくりして、聖剣の他に、胸当てといった軽い鎧を装備。

 これから魔王の住む城へ向かうのだが、場所は魔獣が生息する森の奥にあるらしい。
 一人では危険すぎるのに、国は騎士や魔法使いをお供につけてくれなかった。

 なんて無謀むぼうな。常識を考えろ。これでは早死するじゃないか。
 そんな文句をグチグチと言いながら仲間集めを始めるのだが、魔王と戦ってくれる人なんているはずもなく。



「また失敗かぁ……」

 トボトボと、途中で魔獣の被害に遭った街中を歩く。
 昨日のうちに町を襲った魔獣を討伐して、町の人々に感謝されたが、やはり仲間になる人の情報は得られなかった。

「もし」

 深い溜息ためいきをついた時、一人の少女に声をかけられた。
 ふわふわした長い金髪に青い瞳の、まさに天使のような美しさ。年頃は俺と同じ十七歳ぐらいだろうか。

「私はイヴ。隣町の教会に住む聖女です」

 聖女と聞いて、驚く。

 聖女とは、神様に祝福されて特別な力を持つ女性のことを指す。主に怪我や病気を治療することに長けているそうだけど……。

「勇者カイル様ですね?」
「あ……ああ、そうだけど……」

 聖女が俺に何の用だろう。
 ぎこちなくうなずくと、聖女はニコリと綺麗に微笑んだ。

「私を、魔王退治の旅に加えてくれませんか」



12 / 25
prev | Top | Home / | next