勇者となった俺の前に現れたのは、聖女と名乗る少女・イヴ。
彼女は魔王退治の旅について行きたいと申し出たのだが、俺としては悩ましい。
回復役がいてくれると助かるけど、彼女を守りながら戦えるかどうか……。
「ご心配なく。私も一通りの武術を
思い浮かべていた
心を読まれた?
「勇者様は考え事が顔に出やすいのですね」
俺ってそんなに分かりやすいのか。ポーカーフェイスが苦手なのは自覚しているけど。
けど、そうだな。戦える回復役がいてくれると助かるし、何より一番欲しかった仲間。これを逃すわけには行かない。
「じゃあ、よろしく頼む。俺のことはカイルと呼んでくれ」
「では、私のこともイヴとお呼びください」
綺麗な微笑みで申し出たイヴ。その笑顔に見惚れそうになったが、邪念を払う。
「勇者はいねぇかあぁぁぁ!」
そんな時だった。落雷のような雄叫びが聞こえたのは。
野太い男の声に嫌な予感を覚え、町の外へ向かう。
それぞれの家に駆け込む町の人々をかき分けて到着すると、癖の強い茶髪に
ドスンッ、ドスンッと響く鈍い音に、どれだけの腕力を持つのか見て取れる。
「てめえが勇者かぁ?」
「……そうだ。お前は魔族か」
魔族とは、魔王の配下に下って力を得た魔獣だ。
だが、人型の魔獣なんて聞いたことがない。
頭が豚で胴体が人間といった亜人系の魔獣なら分かるが、こいつの外見は人間そのものだ。
警戒から勇者の剣を構えると、魔族はニタリと不気味に口角を上げた。
「俺は魔王様の配下……四天王の一角を担う魔族、フムスだ」
その邪悪な笑みは、魔族と呼ぶに