目を覚ましたそこは見知った部屋だった。



『気が付いたか、××!一時はどうなることかと!』
「ええと、わたし…」

頭がズキズキと痛む。
誘拐されて、命からがら逃げ出して、折原さんに助けを懇願して、それで………それで?
思い出せない。その後のことが。

「気がついたかい?××ちゃん」

顔を上げるとそこには新羅が居た。
セルティと新羅の家なのだから当然か。

「君は四日間 眠っていたんだ。いやあ、臨也が血相かかえて此処に来たのには驚いたね。それで、怪我を治療しようとセルティ立ち合いの元、君の身体にメスをいれたのは良かったんだけどすぐに塞がって薄い瘡蓋ができた。本当にゾンビなんだなあ、って思ったよ」

成程、それならば記憶がないのも頷ける。

「念の為に皮膚を採取させて頂いたよ。君の身体にある傷は殆ど治っている。青痣は残るだろうけどね」
「ありがとうございます」

裂けた洋服は新しいものに着替えさせられており、地肌が隙間から見えることはなかった。

「セルティ、けいたいとって」
『あまり動かない方が良いんじゃ…』
「チャットするだけよ」

ピンク色の携帯を手渡され、待ち受け画面を見る。
確かに誘拐されてから四日以上経過していた。

「セルティもくるでしょ?」
『ああ、覗いてみようかな』






──琥珀さんが入室されました──



──セットンさんが入室されました──



〔こんにちは〕

[こんにちはー]

〔私達だけでしょうか〕

[甘楽さんのように入室者一覧が見れたら便利なんですけどね]

〔入室者一覧?〕

[ええ、なんでも管理人限定の仕様なんだとか]

〔へえ…〕



──田中太郎さんが入室されました──

【こんにちは】

〔太郎さん、こんにちは〕

[こんにちは]

【時間があったので携帯で来てみました】

【そういえば今ワンセグでN〇K見てるんですけど、黄巾賊の怪我人が出たらしいですね】

〔え…〕



××はリモコンを手に取り、N〇Kにチャンネルをあわせる。



―――男性2人が重軽傷を負って病院に運ばれました。腹部や足に怪我を負った男性は『黒い服の男にやられた』などと供述しており、事件の可能性があるとみて警察は捜査を進めています―――



画面には××を誘拐した男のバンダナが映っており、

「おりはらさんだ…」

その言葉は誰に聞かれることもなく空気に溶けていった。




〔物騒ですわね。黒い服の男って曖昧ですし〕

【あと、関係ないと思いますが…都市伝説のゾンビの名前、××って言うらしいですよ】

〔聞いたことがあります。平和島静雄さんの隣に居たってツイッティアにも画像が上がっていましたわ〕

[そうなんですか]

【平和島さんの隣に…その筋の人なんでしょうか?】

《ゾンビが取り立てなんて世も末ですね☆》

〔うわ〕

【居たんですか甘楽さん】

《フフフゥ!ROMっていました。それと入室者一覧はチャットそのものを変えなきゃいけないので仕様は変更出来ません☆》

〔ふーん〕



内緒モード《目が覚めたようだね》

内緒モード《迎えに行こうか?》

内緒モード〔お願いします。それと〕

内緒モード〔どうして私の名前が画像と共に流出しているのですか〕

内緒モード《さあね》

内緒モード〔………〕



〔そろそろ知り合いが来るので落ちます〕

《お疲れさまです☆》

【お疲れ様です】

[おつです]

〔ご機嫌よう〕



──琥珀さんが退室されました──



《私も落ちますね☆お疲れ様です》



──甘楽さんが退室されました──




お宅訪問、そして発覚


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