血を取られ、暫く横になっていた××は身体を起こして居間に戻って来た。

『もう起きて平気なのか?』
「ええ」

残っていた珈琲を飲み干し、××はセルティに向き直る。

「へいわじましずおにあいたいの」
『静雄に用事か?』
「ただあってあいさつするだけよ。れんらくとれるかしら?」
『メールしてみるよ』

ありがとう、と告げて椅子に座る。
セルティは静雄に連絡し、暫くして返事が来た。

『これからなら良いってさ』
「そう。じゃあいきましょう」

新羅と挨拶を交わし、2人で再びシューターに乗り込んだ。






シューターは駆ける、駆ける。
池袋の街を駆ける。
まだ人通りの多い道路を曲がり、西池袋公園で停車した。
そこにはベンチで煙草をふかすバーテンの姿があった。

『待ったか?』
「いや、さっき来たところだ」

煙草を携帯灰皿に潰し入れ、首を傾げる。

「で、会わせたい奴って?」
『ああ、ほら、××。隠れてないで』

セルティの背後に隠れていた××はセルティによって引っ張り出される。

「こんにちは…××です」
「平和島静雄だ」

××は小さな手で静雄の手を握る。

「…っ、」
「だいじょうぶ。わたしはこわれないよ」
「……」

暫し動揺し、そっと握り返す。

「よろしくね、しずおさん」
「…ああ。よろしくな、××」

わしゃわしゃと空いている左手で髪を混ぜられる。擽ったくて、でも心地好くて、目を細めた。
赤外線通信でアドレスと番号を交換して、××は「友人」のグループに静雄を追加した。

「おひるごはんたべた?」
「いや、まだだ。けどセルティが居るだろ」
『私のことは気にしないでくれ!』
「テイクアウトしましょう。それならここでもたべられるわ」
「そうだな」

××達はセルティを公園に残してロッテリアに向かう。ぴったりと寄り添い、手を繋ぎながら。




──同時刻、ツイッティア

〔激写!平和島静雄が少女と手を繋いで歩くわず!@ロッテリア〕

〔【1000RT】西池袋公園にて自動喧嘩人形と黒バイクと謎のロリータ少女!〕

〔ハンバーガーを食べる平和島静雄とロリータ少女発見!平和島静雄が微笑んでいた!@西池袋公園〕

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「きょうはありがとうございました」
「気にするな。また飯奢ってやる」
『良かったな、××』
「うん」
「じゃあ俺は仕事に戻るから」
「またね」

静雄の背中を見送り、振っていた腕をおろした。

「ねえ、セルティ」
『?』
「しずおさんってやさしいね。しずおってよんだらおこるかな」
『さあ、本人に聞いてみないと』
「だよね」

んーっ、と伸びをして、

「きょうみもっちゃった」
『楽しそうだな』
「そうね、たのしいわ。こんなきもちはひさしぶりよ」

ふふっ、と笑みを溢してベンチに腰掛ける。

「ここにくるとちゅうでみたあおいビルはなにかしら?」
『アニメイトか。また静雄に聞くといい。詳しい友人があいつには居るから』
「へえ、そうなの」
『それより帰らなくて大丈夫なのか?赤林さんが心配するだろう』
「そうね。そろそろかえったほうがいいわね」
『送っていく』
「ありがとう、セルティ。きょうはおせわになりっぱなしね」

ヘルメットを受け取ってシューターに跨がる。
周りの人々に好奇な目で見られているのを感じ取り、深くヘルメットを被った。

「セルティ、だして」
『了解』

馬の嘶きと共にシューターは走り出し、西池袋公園を後にした。






折原臨也は事務所の一室で紅茶を啜っていた。
一台のPCと向き合い、妖しい笑みを浮かべる。

「駄目だなあ、××ちゃん。シズちゃんとなんか居るからこんなに目立っちゃうんだよ。悪い子…」

つつ、と画面を人差し指でなぞらえる。
そこにはツイッティアにアップされた××と静雄のツーショットが映し出されていた。



関わってはいけない人間、存外優しい彼


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