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「ギンコー、帝江ー、飯…」


 あれから、帝江とギンコを居間に残し、旅の疲れを癒してもらっている間に一人夕餉の仕度をしていた化野だったが、しばらくして勝手から鍋を持って帰ってくる。


「あだ…しの…、」
「ああ」


 その姿を捉えた帝江が名前を呼ぶ。言葉の意味を一つ理解できたことが余程嬉しかったのだろう。
 そんな彼女がいるのは、囲炉裏のある部屋で堂々と横になり寝ているギンコの側。鍋を一旦床に置き、一人寂しく起きていた帝江の頭を撫でてやる。


「ここで寝ちまったのか?しょうがないな…」


 押し入れから布団を引っ張り出してギンコにかけてやる。
 帝江はぼうっとその様子を見ていた。


「…できることなら男より帝江にやってやりたいよ」


 囲炉裏に鍋を引っ掛けながら化野が笑った。


──ギシ、


「ん、起きたかギン…コ…」


 床が軋む音に、ギンコが起きたのかと思い顔を上げれば、寝ぼけたギンコが帝江の腰に腕を回しているところだった。
 所謂膝枕状態となっている。それを黙って許容している帝江も帝江だが、見るからに若い娘にそんなことをしでかしているギンコになんと言ったらいいのかわからない。本人はあくまで眠っている間の無意識の行動だ。しかし、しかしだ、これはだめだろう。


「…ったく、人前で見せ付けるなよな…」


 見ているだけで胸やけがしそうな光景に化野が参ったと、髪を掻いてからその片足を振り上げた。


──ゲシッ!!


「ギンコてめぇっ!起きろ!!」
「いっで!?」