「…昼間は、悪かったな」
パチパチと炭火が小さく爆ぜる音の合間に、粥を啜っていたギンコが箸を止めて向かいに座っていた化野に声をかける。
「…ん?あ、あぁ…」
二人の不穏な空気を感じてか、今日はギンコの隣に座っていた帝江が動かなかったものの、聞き耳を立てる。
「心配なのは俺も同じだから」
「…あぁ」
「お前、周り見えてないし」
「……あぁ、すまん…」
焦るあまりいおを怖がらせてもいた。
化野の説教に近い説得に肯定するしかないギンコ。
視線を泳がせた先で固まっている帝江に気付いて大丈夫だと言い聞かせるように頭を撫でる。
「ぎんこ、おかゆ…」
「ん?食べるか?」
そう聞くと、静かに首を横に振られた。
「ぎんこ、たべる…」
あまり粥の減ってないギンコの器に帝江が心配したのだ。
「ん…あー、食べるから」
と、言ったものの囲炉裏の火を見たまま、また動きの止まってしまったギンコに
──す…
差し出された木匙。
「っ…ん?」
「食えってさ」
ギンコに粥を食べさせようとする帝江に化野が吹き出す。
「、分かった分かった。食べる。食べるから…」
沈んだような雰囲気だった食事時が明るくなった。
「帝江、俺にも食わせてくれ」
──す…
「やめろっ、俺が咥えた匙から貰う気かっ?」
ギンコの匙を奪ってギンコに食べさせていた帝江が、そのまま匙を化野に向けたのだ。
これは、三人でする初めての食事でもあった。
やっと訪れた幸福な時間をギンコは噛み締めるように。
この時がずっと続く様にと願いを込めて。