望まぬ再開
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【side:依紅】

準備と打ち合せのために宝祥と秋津を

特別音楽室に追いやって

私は水夏ちゃんを連れてコートにむかっていた。


秋津の彼女のはずの水夏ちゃんには今日初めて

会ったワケなんだけど、


彼女、実は高校生で、実は彼女じゃなかった。


(『妻です』って言うセリフを聞いた時の

 秋津の顔ったら…

 言い表わせないくらい嬉しそうだったけど…)


だけど。


同じような反応が見れると思って聞いた

結婚の理由。


答えは想像とは違い

『家を出たかったから』だった。


(この子に何があったんだろう…)


そう思うに十分な返事。

この結婚は何かあるのかもしれない。


「あれ?依紅さん?」


そんな事を考えながら歩いていた

コートへと向かう道。


懐かしいレギュラージャージを着た

男の子と出会った。


彼、名前を−平沢将貴(ヒラサワ マサキ)−と言う。


「─── ッ !!」


(水夏ちゃん?)


彼を見た美夏ちゃんが一瞬顔色をかえたような

気がしたけど、私が見た時には少し俯きがちに

顔を背けただけで、至って普通だった。


「どうしたんですか?

 あ、もしかして依紅さんも送別会に?」

「うん。平沢くん、レギュラーになったんだ?」

「はい。この夏からです」

「へぇ…すごいね。頑張ったんだね」

「ありがとうございます!」


桜華テニス部はたくさんの人数を抱えていて、

実力がないと決して上へは上がれないという

完全実力主義な部活だ。


レギュラーになれたという事は

頑張った証拠だった。


だけど


努力を惜しまない堅実家、という私の中の

彼のイメージが崩れたのは次の瞬間だった。


「あれ?もしかして…水夏?」


そう。


水夏ちゃんに気づいた瞬間に、

彼の態度はそれまでと一変したのだ。




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