真実
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「でっ…でも…彩瀬さんの名前が出た時…
侑希ツラそうだっ…た…よね」
水夏はしゃくりあげながら水羽の事を口にする。
「水羽の?…あぁ、あの時な。
あれはツラかったんやなくて呆れてたんや。
何もこのタイミングで言わんでもええ事やろ」
「だけどすっごい切ない声で…」
「水夏に聞かれとうなかった。
知らんでもええ事やろ、水羽の事なんて」
確かにそうだ。むしろ、知らなかった方が
傷つくこともなく、平穏無事なまま…
(傷つく…?)
水夏は妙な違和感を感じた。
そして侑希も同じような事を思ったのか
疑問を口にする。
「水夏こそ、水羽の事気にしてるんは何でや?」
「それは…」
二人の結婚は一般的な恋愛結婚でもなく、
見合い結婚でもない。
つまり、この結婚が契約の一種で、
好きでもない相手ならモトカノの話がでようが、
何も気にすることはないという事。
だけど…
「せっかく…一緒にいるのに…」
(デートに誘われただけで喜ぶくらい)
「結婚する、って思われたのは…別の人で…」
(ふいに出てきたモトカノの話に傷ついて)
「しかもその人はすごい美人で…悔しくて…」
(嫉妬してしまうくらい…私は…)
水夏は無言で顔を上げる。
そしてゆっくりと近づいてくる侑希を
拒む事もせず、瞳を閉じた。
(侑希が好きなんだ…)
「……ちゃんと聞こえた?」
お互いの唇が離れてまずそう尋ねた。
しかし、そうは言ったものの…初めてのキス。
突如わいた恥ずかしさのために顔を伏せる。
「聞こえたで」
水夏ははっきりと口にはしていない。
だけど、侑希の耳には確かに声が聞こえた。
侑希はそんな水夏の頭を優しく撫で、
抱き締めた。
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