もう一つの姿
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「依紅ちゃん」


階段の下に依紅の姿を見つけた水夏は

つないでいた侑希の手を放して駆け寄った。


「ごめんなさい。心配かけてしまって…」

「ううん。秋津から連絡はもらってたから

 心配はしてなかった。あの子の事は?

 大丈夫?」

「ハイ。私の中ではケリのついた事だし…

 今は侑希もいるから…」


依紅は水夏が大切そうに握るその左手に

あるモノを知っている。


うまくいっているならいいと、

依紅はバレないようにこっそり笑った。


「そっか。一応ガツンとは言ってあるけど、

 でも無理はしないで」

「ハイ。ありがとうございます」


(お姉ちゃんがいたらこんなカンジなのかな…)


今日初めて会ったにもかかわらず、こんなにも

親身になってくれた依紅に、水夏は感謝した。


「さーて…」


いつの間にか下りてきていた侑希が

二人の横に立つ。


「水夏のこと頼むわ。依紅」

「うん。分かった」

「どこか行くの?」

「俺は敵討ちに。

 水夏を泣かせた罪は償ってもらわなな〜」


返事とも独り言ともとれるセリフを呟きながら

背を向けた侑希を、水夏はあわてて呼び止める。


「え?ちょっと待ってよ侑希!」

「水夏ちゃん。大丈夫よ。喧嘩じゃないから」

「え?どういう事ですか?」

「ついてくれば分かるよ。行こうか、私たちも」

「はぁ…」


何か釈然としな気持ちで美夏は生返事を返した。




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