もう一つの姿
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「水沢さん、お待ちしてました」
現テニス部マネージャー、伏見閑(フシミ シズカ)は
にっこりと笑って二人を出迎えた。
「こんにちは。遅くなってごめんね、
準備はできてる?」
「はい。いつでもいけます」
「了解。あ、この子は今日の私のアシスタントで
沢木水夏ちゃんね」
いきなり振られた水夏は驚きつつも
「沢木です」と挨拶をすると…
「マネージャーの伏見です。
よろしくお願いします」
と、彼女も挨拶を返してくれた。
「よし。じゃあ行こうか」
「はい」
二人が足を進める方へ水夏もついて行く。
するとコートに入るなりいろんな視線が
こちらへと集中 ────
しかし二人はそんな視線をものともせず歩き
一人の男の人の前で足を止めた。
「高津コーチ。お久しぶりです」
その人は「コーチ」と呼ばれるには
不釣り合い(←失礼)な高そうなスーツを
着こなした渋めの男性。
「…水沢、か?」
「はい。今日は練習試合があるとお聞きしたので
見に来ました」
(この人が高津先生…?)
「最後の教え子の仕上がりはどうですか?」
「そうだな…。
お前達がいた頃に一番近い出来ではあるな」
と、その時だった。
「それは言いすぎやろ、コーチ。
冗談にしては笑えんで」
(侑希…?)
「フン…コーチ、俺も同感ですよ。
この程度で俺達と一緒にされては困ります」
その場にいた全員が声の主を確かめるように
彼らに注目する。
「お前たち…」
そこにいたのは幸を先頭に侑希と、
水夏の知らない何人か。
水夏以外の人達には、彼らが誰なのか
分かっているようだった。
「どうして…」
それ以上の声を失った先生に
依紅はにっこり笑ってネタばらしをする。
「100期レギュラーとマネージャー水沢依紅。
練習試合に参上しました ☆(ゝω・)v」
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