聖なる悪夢へ恩返し

カスタマー支援のメールが届いてすぐ、募集人数の超える応募が集まり倍率は20を超えたが、
本部による厳正な審査の結果〇〇〇は無事に支援メンバーに選ばれた。

基礎能力は平均的、しかも宇宙船に関してもペーパーパイロットな彼女がこの専攻を勝ち抜けたのは
幼少期から天涯孤独という長期出張向きな人材だったことが大きな要因だろう。


「それでは、行ってまいります」
「しっかり務めるように」
「はい」

「気をつけてきてね」
「がんばってこいよ」
「ありがとう」

彼女の選抜に伴って業務を引き継いでくれた上司と同僚達に感謝を伝え宇宙船に乗り込む。

研修マニュアルを肘置きに開きながらの辿々しい運転だったが、〇〇〇の船も無事に他のメンバーと共にスペースポートから旅立った。


「よし…、大気圏を抜けたし、目的地も設定してある…えーと、着陸まではオートパイロットを設定して…
後は、えーと、酸素よし、圧よし…」

マニュアルを一つ一つ指さし確認をしながら操作設定を終えた〇〇〇はゆっくりとハンドルから手を離し、宇宙船が前に進んでいるのを確認してから、ほっと息をついて立ち上がった。

これで着陸までは操縦席に座る必要もない。

(着陸も自動ならよかったのに…)

苦手な着陸の存在を思い出し、苦い顔をする〇〇〇
彼女は着陸ミスのせいで二度普通宇宙船免許の仮免に落ちている。

しかし、すぐに仕事でするべきことを思い出しパッと顔を上げ、備え付けの資料ブースに向かった。

着陸の件はくよくよ考えても仕方ない、せめて向こうのターミナルが広い事を願おう。

「カタログいくつかピックアップしないと」

本部が入手できた顧客データは名前と居所、そして売上金額だけ、
だから支援メンバーは顧客住所と売上額から自分の担当が何を購入していたのかを推理しなければならなかった。


(ププビレッジのデデデ陛下…
これがわからない…なんで村に王様が?

…いや、ホーリーナイトメア社のデリバリー技術を導入しているんだから村なわけないか、そういう名前の王国かなにかだよね

売上金額も、他の顧客の比じゃないし…よっぽどのお金持ち…

宇宙船でも複数持ってるのかな…?
なら観光地か、物流…、いや技術者の国かもしれないし…でもププビレッジなんて聞いたこと…)

頬に手を添えて首を傾げる。

普通ここまでの大金持ち星なら、観光地や研究機関、はたまた富裕層別荘星として噂のひとつくらいあるはずなのに、ププビレッジという名前は見たことも聞いたこともなかった。


「ププビレッジ…どんなとこなんだろ
ホーリーナイトメア社の代わりに何ができるかな」

まだ見ぬ星へ想いを馳せる〇〇〇

どんな星であろうと、このププビレッジの為に役に立てることをしようと誓い、もう一度書類に目を戻した。

それがホーリーナイトメア社への恩返しになるのだから…



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