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今日の午後3時からはグリフィンドールとスリザリンの1年生が合同授業の科目の1つである飛行訓練が行われるため、朝からユリたちはピリピリしていた。
「そらきた。お望み通りだ。マルフォイの目の前で箒に乗って、物笑いの種になるのさ」
「そうなるとは限らないよ。あいつ、クィディッチがうまいっていつも自慢してるけど、口先だけかもよ」
ユリはハリーとロンの会話を聞いていたが、マルフォイって誰のことかさっぱり検討がつかなかった。ユリは思いきって聞いてみることにした。
「マルフォイって誰なの?」
「ああ、ドラコ・マルフォイのことだよ。純血主義者のスリザリン。あいつ、僕たちのコンパートメントに偉そうに入ってきたんだ。」
「それにうウィーズリー家のことも悪く言ってたんだ。みんな赤毛でそばかすで育てきれないほどたくさん子どもがいるって」
「そうなんだ......」
ウィーズリー家の悪く言うなんて人としてどうなのと思ったユリ。それに、純血は贔屓してマグルを差別するって聞いたときユリは絶対仲良くしたくないと心の中で思った。一方でユリの席から少し離れたらところに座っているハーマイオニーは図書館で借りた「クィディッチ今昔」を読んで話しまくった。ネビル・ロングボトムだけは彼女の話を真剣に聞いていた
すると、郵便の配達時間となりふくろうがたくさん配達をしてきた。メンフクロウがネビルにおばあさんからの小さな包みを運んできた。中身を開けると、ガラス玉のような物だった。
「思い出し玉だ。ばあちゃんは、僕が忘れっぽいこと知ってるから───何か忘れてるとこの玉が教えてくれるんだ。見てごらん、こういう風にぎゅっと握るんだよ。もし赤くなったら、あれれ───」
思い出し玉が白い煙だったのが突然赤く光り出した。ネビルは愕然とした。
「何か忘れてることがあるってことなんだけど......」
ネビルは全然思い出せなかった。すると、そこへプラチナブロンドの髪をした男の子がネビルの思い出し玉をひったくった。それから、ハリーとロンは男の子と喧嘩を始めた。騒ぎを聞きつけたマクゴナガルが3人のところへ来た
「どうしたんですか?」
「先生、マルフォイが僕の思い出し玉を取ったんです」
「本当なのですか?Mr.マルフォイ」
「見てただけですよ」
そう言って男の子はネビルに思い出し玉を返して逃げるかのように立ち去った。彼に付き添ってきた2人の男の子も早足でその場を後にした。後からロンに聞いたが、プラチナブロンドの髪をした男の子がドラコ・マルフォイらしい。ユリは先ほどのやり取りを見ていたのでますます嫌な奴だと思った。
その日の午後3時半───ユリはハーマイオニーと一緒に校庭へと急いだ。校庭に着く頃には既にスリザリン生は箒の前で集まっ ていた。
「何をぼやぼやしているのですか──みんな、箒のそばに立って。さあ、早く」
足早に現れたのは鷹のような黄色の目をした白髪を短く切った女性───彼女はマダム・フーチ。クィディッチの審判も務めている。
「右手を箒の上に突き出して──そして、上がれと言う」
「ここまでやってください」とフーチが言うと、みんな一斉に上がれと叫んだ。しかし、ほとんどのみんなが一発で箒が手の中に収まることはなかった。だがハリーを見ると直ぐに箒を手に取ることができた。一方ユリの箒はふわふわとゆっくりだが手の中に収まった。ハーマイオニーとネビルはかなりてこずっていた。ロンにいたっては箒が顔に当たってしまう始末だった。
「私が笛を吹いたら、地面を強く蹴ってください。箒はぐらつかないように押さえ、2メートルぐらい浮上してそれから少し前屈みになってすぐに降りてきてください。笛を吹いたらですよ───1、2の───」
フーチが笛を吹こうとしたときだった──ネビルの箒が宙に浮いてしまった。ネビルは1人だけ地上に置いてきぼりを食らいたくないという気持ちが強くなってしまって、地面を強く蹴ってしまった。
「こら、戻ってきなさい」
さらにネビルが跨がっている箒はさらに高く上がり暴走し始めた。ネビルは真っ青な顔で地面を見下ろし、声にならないほどの悲鳴をあげるととうとうネビルは箒から真っ逆さまに落ちた。フーチはすぐさまに駆け寄りネビルと同じくらい真っ青になった。
「手首が折れているわ」
「大丈夫?ネビル」
フーチはネビルの体を起こし立たせた。
「この子を医務室に連れていきます。その間は動いてはなりませんよ。箒も地面につけたままにして置くように。さもないとクィディッチのクを言う前にホグワーツから出ていってもらうことになりますからね」
そう言ってフーチはネビルを支え、医務室に連れていった。ネビルは涙でぐしょぐしょの顔をした。医務室に行くときネビルのポケットから思い出し玉が落ちて転がった。
「あいつの顔を見たか?あの大間抜けの」
「やめてよ、マルフォイ」
「へーロングボトムの肩を持つのか?」
「パーバティったら、まさか貴女がチビデブの泣き虫小僧に気があるなんて知らなかったわ」
気の強さそうなスリザリン生の女子──パンジー・パーキンソンが冷やかした。
「見ろよ!ロングボトムの婆さんが送ってきたバカ玉だ」
ドラコが高々と拾い上げて言った。
「マルフォイ、返して」
「おや、どこの誰かと思ったらシルフィ家の子じゃないか。確かお前の両親はけ──」
「それ以上言ったら許さないぞ、マルフォイ!」
ロンがマルフォイの言葉を遮った。ユリはマルフォイが言おうとした言葉は何だったんだろうと戸惑った。
「ウィーズリーか。まあいい。」
「マルフォイ、いい加減に返せよ」
今度はハリーがドラコの前に出て言った。ドラコはニヤリと笑うとネビル自身に取れるように、木の上に置いとくと言って箒に跨がって宙に浮いた。ハリーもまた箒に跨がろうとした時、ハーマイオニーが止めた。しかし、ハーマイオニーの意見を無視し箒に跨がって地面を強く蹴り上昇した。ハリーが思い出し玉を取り戻そうとすると、ドラコが思い出し玉を高く投げてしまった。ハリーはそれを追いかけるようにスピードを上げた。そして、箒の柄を下に向け一直線に急降下しハリーは手を伸ばしてキャッチした。
「ハリー、凄いわ」
「マルフォイの顔を見てみろよ!悔しそうな顔してるぜ」
グリフィンドールは一斉にハリーのもとへ駆け寄って、彼を褒め称えた。すると、そこへマクゴナガルがハリーの名前を呼んで彼を連れてどこかへ行ってしまった。
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