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「頭が3つある犬?」
翌日、ハリーとロンはユリに昨夜の出来事を話した。
「何かを隠していると思うんだ」
「何かを?」
「ハーマイオニーが言うには仕掛け扉の上にその犬が立っていたらしいんだ。」
「つまりその仕掛け扉に何かがあるってことだ」
「そうなんだ...」
ユリはハリーとロンから話を聞いて自分も行ってみたかったなと思った。その頭が3つある犬も見てみたかったのと、ハーマイオニーがハリーたちと一緒にいたのが羨ましいかったのが本音である。
「(いいな───ハーマイオニーはロンと一緒だったなんて)」
それから1週間経った。ハリーとロンはどうやってドラコを仕返しにするか考えていた。すると、そこへたくさんのふくろうが配達をしに大広間に入ってきた。ハリーの元に大コノハズク6匹がくわえた細長い包みがすぐにみんなの気を引いた。ハリーはすぐに中身を開けようとしたが1通の手紙が落ちてきた。手紙にはこう書かれていた───
包みを開けないように。
中身は新品のニンバス2000です。貴方が箒を持ったと知ると、みなが欲しがるので気づかれないように。今夜7時、クィディッチ競技場でウッドが待っています。最初の練習です。
M・マクゴナガル教授
「ニンバス2000だって!僕、触ったことないよ」
ハリーとロンは大喜びだった。彼らは2人だけで見ようと大広間へ出た。残されたユリは仕方なく授業の準備をして教室へと向かった。
────1日の授業がすべて終了し今は自由時間。ハリーはオリバー・ウッドと一緒にクィディッチの競技場に行って練習をしていて、ロンはチェスに没頭していてハーマイオニーも読書に夢中だったためユリはとてつもなく暇だった。なので、ユリは図書館に行って授業を出された課題を進めることにした。
「うーん、分からない」
「何が?」
どうやら口に出していたみたいで後ろから誰かに聞かれるとは思ってもいなかったようで、ユリは思わず肩をビクッと震えて後ろを振り向いた。
「よぉ!」
「ジョージ...ビックリさせないでよ」
「ごめんごめん。」
後ろにいたのはいつも片割れと一緒のはずの赤毛でロンの兄のジョージ・ウィーズリーだった。ジョージはユリの横に座った。
「あれフレッドは?」
「あいつならリーとどっか行った。恐らくフィルチに悪戯だろうけどね」
「そうなんだ」
ユリはフレッドといないなんて珍しいと思った。もっと言えばジョージが図書館に来るなんてそうそうない。
「ユリは、課題か?」
「うん。まあ、これは来週の月曜日に提出だから土日で頑張れば出来るんだけどね」
ふにゃっと笑うユリ。ジョージはそんなユリの笑顔を見て頬が少し赤くなり照れた様子だった。ユリはそんなジョージを見て可愛いとからかった。ジョージはからかうなと言いながらどこか嬉しそうな顔していた。この場にフレッドがいたら「抜け駆けするな!」と喚いているだろう。
「そろそろ談話室に戻るか」
「うん!」
ユリは勉強道具を片付けてジョージと一緒に図書館から出た。
「ジョージはなんで私が図書館にいると思ったの?」
「...君のいる場所なんて俺にはすぐ分かるよ」
「なんだかフレッドが言いそうな台詞。」
「俺も自分で言ってみて、ちょっと恥ずかしかった」
笑い合うユリとジョージ。何だかいい雰囲気ではないか。
ちなみに何故ジョージがユリの居場所が分かったのか、それが分かるのはまだまだ先の話である───。
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