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クィディッチ当日の朝────




「朝食、しっかり食べないと」

「何も食べたくないよ」

「トーストをちょっとだけでも」

「朝食食べとかないとクィディッチでもたないわ」

「お腹すいてないんだよ」




ハリーにとって緊張な朝を迎えてしまった。何故なら今日がハリーのクィディッチのデビュー戦であるからだ。朝起きた時、ハリーはいろんな人に声をかけられた。




「ハリー、力をつけておけよ。シーカーは真っ先に敵に狙われるぞ」

「わざわざご親切に」




シェーマスもまたハリーに声をかけた。すると、ユリは何か思い出したかのように「ちょっと行ってくる」と3人にそう言い残し席から立った。ユリが向かった先は同学年と喋っているフレッドとジョージの元だった。彼らもユリに気づいて手を振った。




「フレッド、ジョージ、今日試合頑張ってね!」

「「もちろん!」」

「ユリ観ててくれよな!俺たちの箒に乗っている姿を!」

「ハリーを応援するのもいいけど、俺たちの方にも声援をくれよ」」

「分かってるよ!」




ユリはここで2人と別れた。それから午前11時を回るとクィディッチの競技場の観客席はたくさんの人で埋められていた。




「凄い」

「ユリ、こっちよ!」




ユリは声をかけられた方を見ると、最上段にロンとハーマイオニー、ネビル、シェーマス、ディーンたちがいた。先に陣取りをしてくれていたようだ。ユリはすぐにそっちに行った




「眺めいいね」

「本当に早めに朝食を済ませて良かったわ」




絶好のクィディッチ日和のこの日。スタンド席はたくさんの人がクィディッチの試合を観に来ていた。今日はグリフィンドール対スリザリンの試合だ───試合時間が刻々と迫り選手たちもユニフォームに着替え箒を持って競技場に現れた。審判はマダム・フーチ。フーチが審判の笛を鳴らすと選手は箒に跨がり一斉に空へ舞い上がる





「さて、クアッフルはたちまちグリフィンドールのアンジェリーナ・ジョンソンが取りました──なんと素晴らしいチェイサーでしょう!その上かなり魅力的であります」

「ジョーダン!」

「失礼しました、先生」




解説者は双子ウィーズリーの悪戯仲間であるリー・ジョーダン。マクゴナガルから厳しい監視を受けているようだ。




「ハリー!フレッド、ジョージ!グリフィンドール、頑張って!」




リーの解説を聞きながらユリは一生懸命声援を送った。グリフィンドールとスリザリンは互角だった。しかし、先に先制点を取ったのはグリフィンドールだった。グリフィンドール側は大歓声ていっぱいだったが、対してスリザリン側はヤジとため息だった。




「ちょいと詰めてくれや」

「ハグリット!」




ユリ、ロン、ハーマイオニーはハグリットが座れるようにぎゅっと詰めた。




「俺も木屋から見ておったんだが...やっぱり、観客に交じって見るのとはまた違うのでな。スニッチはまだ現れんか?え?」

「まだだよ、今のところハリーはあんまりすることがないよ」

「トラブルに巻き込まれんようにしておるんだろうが、それだけでもええ」




ハリーはスニッチを探している。どうやらスニッチが見つかるまでは安全なところにいるらしい。ブラッジャーが大砲のような勢いでハリーを襲いかかったが、ヒラリと避けた。その後にフレッドが球を追いかけハリーに声かけている様子が伺えた。フレッドはブラッジャーをマーカス・フリントにめがけて勢い良く叩きつけた。また、リーの解説もまだまだ続く。




「あれ、スニッチじゃない?」

「え、どこ?」

「ほら、あそこ!」




ユリが指を指したところにスニッチが現れた。ハリーもまたスニッチを見つけて追いかけ始めた。相手チームのテレンス・ヒッグズも見つけたようで彼もまたスニッチを追いかけた。しかしハリーの箒が一枚上手、だがここでマーカス・フリントが故意にハリーの箒を弾き飛ばしてしまった。もちろん、グリフィンドール生からは批判を浴び、フーチはフリントに厳重注意をした。またグリフィンドールにゴール・ポストに向けてのフリー・シュートを与えた。




「退場させろ!審判!レッドカードだ!」

「サッカーじゃないんだよ、ディーン。クィディッチに退場はないんだよ。ところでレッドカードって何?」

「ルールを変えるべきだわい。フリントはもうちっとでハリーを地上に突き落とすとこだった」

「ハグリットの言う通りだわ」




口々とスリザリンが取った行動に問題視をした。また今まで中立を図っていた解説者のリーもスリザリンに批判を始めてマクゴナガルに注意をされた。ハリーは2度目のブラッジャーをかわしたが球が獰猛に回転をしながらハリーの頭上をギリギリで通りすぎた時──突然ハリーの箒が言うことを聞かなくなってしまった。




「ハリー!どうしたの?」

「あれがハリーじゃなけりゃ、箒のコントロールを失ったんじゃないかと思うわな...しかし、ハリーに限ってそんなこたぁ...」

「フリントがぶつかったとき、どうかしちゃったのかな?」

「そんなこたぁない。強力な闇の魔術以外、箒に悪さはできん。ちびどもなんぞ、ニンバス2000にはそんな手出しはできん」




ユリはハリーがとても心配だった。しかし、ここでハーマイオニーが双眼鏡を見て言った。




「スネイプよ!箒に呪文かけているわ」

「どうすればいいの?」

「私に任せて!」




ここでハーマイオニーがユリとロンの元から離れた。ユリはスネイプに何かをするんだろうかと思った。しかし、空の上では相変わらずハリーの箒が暴れていた。




「早くしてくれ、ハーマイオニー」




ロンの手に力が入っているのが分かった。ユリはロンの手の上に自身の手を置いた。「大丈夫だから」という気持ちを込めて。すると、教師人の観客席から騒ぎが起こりだした。ユリは双眼鏡で見てみるとスネイプのローブに火が燃え始めたのが分かった。それまでスネイプの呪文によってぐらついていた箒が立て直し、ハリーはスニッチを追いかけた。しかしハリーが急降下し始めたではないか──ハリーを見ると口を手で押さえ何かを吐こうとしている姿がとらえた。四つん這いになって着地をして、次の瞬間ハリーの口から金色に輝いたスニッチが出てきた。彼はなんと口でスニッチをゲットをした──




「スニッチを取ったぞ!」




スニッチを高々と上げてハリーが叫んだ。しかし、フリントは「あいつは取ったんじゃない!飲み込んだんだ」と喚いていたが結果はグリフィンドールの勝利だ。解説者のリーもグリフィンドール生もマクゴナガルも大喜びだった。こうして、グリフィンドール対スリザリンのクィディッチの試合は幕を閉じた───


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