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汽車が駅に着いてユリは双子とリー・ジョーダンと別れてハリーとロンを見つけ彼らの元へ行った。




「ハリー!ロン!」

「やあ、ユリ。さっきぶりだね」

「どうしたの?ロン、何か不機嫌そうだけど」




ロンの顔を見ると不機嫌な顔をしていた。ハリーの話によると彼らのコンパートメントに女の子が来たらしいのだが、彼が使った呪文がどうやらジョージに嘘を教えられたものだったみたいで彼女に小馬鹿にされたらしい。しかも、それだけではなく自分は予習してきたのだと自慢気に話してた。しかし、ハリーによれば彼女は本が好きみたいで教科書もちらっと見てきたと本人が言ってたらしい。




「その子、きっと頭いいのね」

「確かに頭良さそうだったけど......。まあ、どちらにしても彼女とは違う寮がいいね」




「私はその女の子と同じ寮がいいな」と思ったが口には出さなかった。すると、大男で髪の毛がふさふさした人が灯りがついたランプを持ってやって来た。




「イッチ年生!イッチ年生はこっちだぞ!」

「ハグリットだ」

「よお、ハリー!」

「うわあ」

「大きい......!」




ユリとロンは身長の高さにびっくりしているが、ハリーは一緒にダイアゴン横丁に買い物をした仲である。いや、正確にはハグリットがハリーを迎えに行ったのだ。ハリーと一緒に暮らしている叔父さんと叔母さん、いとこがとても意地悪なんだとか。




「イッチ年生!イッチ年生はもうおらんか?」




1年生が全員揃ったらしく、ハグリットは歩き出した。ハグリットの後ろにハリーとロン、ユリが続いた。1年生と上級生はどうやら行き方が違うらしく、1年生は険しく狭い道のりをしばらく歩いた。ようやく道から抜けると湖に出た。湖の向こうの岸に大きなお城が建っていた。大小様々な塔があり、窓からは灯りがついておりキラキラ輝いていた。あれが────ホグワーツ魔法魔術学校だ
そこへ行くにはどうやら小船に乗らなければいけなかったようでユリはハリーとロン、ネビル・ロングボトムと同乗した。小船には魔法がかかっているので漕ぐ必要はなかった。岸に着くと、学校の玄関前に魔女の帽子を被った女性が立っていた。




「マクゴナガル教授、イッチ年生の皆さんです」

「ご苦労様、ハグリット。ここからは私が引率をします。」




ハグリットとはここで一旦別れ、今度はマクゴナガルと呼ばれる厳格そうな先生の後ろに続いた。とある小部屋に1年生が全員入れさせられた。全員入ることが出来たらマクゴナガルから挨拶の言葉があった。




「ホグワーツ入学おめでとう──新入生歓迎会がまもなく始まりますが、大広間の席に着く前に皆さんが入る寮を決めなくてはなりません。」




寮の組分けはとても大切なことであるとマクゴナガルが言った。寮にはそれぞれ4つあり、グリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、スリザリン。




「────まもなく全校生徒、職員の前で組分けの儀式が始まります。待っている間、出来るだけ身なりを整えておきなさい。学校側の準備が出来たら戻ってきますから、静かに待っていてください。」




そう言ってマクゴナガルは部屋を出た




「どうやって寮を決めるんだろう?」

「試験のようなものだと思う。フレッドは痛いって言ってたけど、きっと冗談だ」

「私、チャーリーからこっそり聞いたんだけど"組分け帽子"が決めてくれるらしいわ」

「いつチャーリーに聞いたんだよ?」

「手紙でね。フレッドとジョージは嘘を言うからチャーリーに手紙を出して聞いたの」

「......あいつら、ユリがチャーリーに手紙を出していたことを知ったらうるさいぞ」

「言わなければ大丈夫」




あっけらかんと言うユリに、ロンは「そういう問題じゃないような......」と思ったが口には出さなかった。ちなみにチャーリーとは、ロンの2番目の兄のチャーリー・ウィーズリー。現在はルーマニアでドラゴンの研究をしている。
ユリは周りを見渡すとやはりみんな顔が少々強張っているような気がした。ふと一人の女の子にユリの視線に入った。彼女は今までに覚えた呪文を早口で呟いていた。




「凄い......」




ユリは関心していると、その女の子と目が合った。もしかしたら、ロンが話してた女の子かもしれないと思ったユリ
すると、そこへ白く透き通ったゴーストが後ろ足の壁から20人くらい現れた。そのうちの2人が何か深刻そうな顔をして話していた。




「もう許して、忘れなされ。彼にもう一度チャンスを与えましょう」

「修道士さん、ピーブスには十分すぎるくらいのチャンスをやったではないか。我々の面汚しですよ。しかも、ご存知のようにやつは本当のゴーストではない──おや?君たち、ここで何をしているのかな?」




太った小柄な修道士らしいゴーストとひだがたる襟のついた服を着ていて、タイツをはいたゴーストが1年生たちに話しかけた。




「新入生じゃな。これから組分けされるところか?」




何人かが頷いた。




「ハッフルパフで会えるとよいな。わしはそこの卒業生じゃからの」




すると、そこへマクゴナガルが戻ってきた。ゴーストは1人ずつ壁を抜けてふわふわと出ていき、1年生は一列に並び直して部屋を出た。


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